畜産物の需給動向

 4 鶏肉 


▼飼養動向
15年2月のブロイラー飼養羽数は、減少に転じ、1億373万羽(▲1.8%)

 ブロイラーの飼養羽数は、毎年減少を続けており、平成12年調査でわずかに増加に転じたものの、13年、14年および15年と3ヵ年連続で減少に転じ15年2月1日調査では、10,373万羽(▲1.8%)となった。飼養戸数は、引き続き小・中規模飼養者層でさらに減少し、15年2月1日調査では2,839戸(▲2.2%)となった。1戸当たりの飼養羽数は、増加傾向で推移しており、大規模飼養者層が増えたことを反映し、15年は3.7万羽(1.6%)とわずかに増加した(図1、P.104)。
 年間出荷羽数を規模別に見ると、「30万羽未満」の各階層の占める割合は、引き続き減少しており、「30万羽以上」の階層のみが増加を続けている。14年には、「30万羽以上」の階層が占める割合は、戸数では11.5%にすぎないが、年間出荷羽数では44.5%を占めている(図2)。


今後のFTA(自由貿易協定)交渉
 協定した地域間あるいは国との間で関税の撤廃など通商上の障壁を除去して自由な取引を行うためのFTAに関する交渉が各国間でにぎわいをみせている。2003年版の通商白書によると、東アジアの経済活力をバネに日本経済を活性化することを提唱し、FTAやODA(政府開発援助)を活用した東アジアビジネス圏構想を打ち出した。その根底には、日本経済の活力を取り戻すためにはアジアの高い成長力を活用すべきというのである。わが国はWTOでの多角的貿易交渉を重視したため、FTAには積極的ではなかったが、シンガポールとFTAを締結したことにより、他の国とも交渉や準備作業が始まっている。鶏肉についてはタイが政府間作業部会で強い関心を表明している。タイにとって、鶏肉の日本向け輸出は農産物輸出の中で、エビに次ぐ重要な位置を占めており、わが国の輸入量も13年度から2年連続で1位となっており、FTA交渉による関税の撤廃により輸出量のさらなる増大を期待しており、わが国の鶏肉産業への影響が懸念される。