畜産物の需給動向

 4 鶏肉 


▼小売価格
14年度のもも肉小売価格(東京)は、前年度をやや上回る

 鶏肉の小売価格(もも肉・東京)は、10、11、12年度は116円と同価格となった。13年度は、9月以降BSEによる代替需要と年度後半の偽装表示問題による国内産需要の高まりにより、年度後半大幅に値上がりし、年度平均では120円(3.4%)となった。14年度もBSEに対する代替需要は無くなったものの国産志向に支えられ、卸売価格は年度後半値下がりしたにもかかわらず小売価格は高い水準を維持し、年度平均では125円(4.2%)となった(図21、P.103)。

国産鶏肉への課題

 国産鶏肉は、平成14年までの好調から一転し、15年当初から厳しい相場展開となっている。さまざまな課題が挙げられるが、適正表示による消費者への信頼回復、重量増等による生産過剰の改善、拡大する輸入品への対処、WTOやFTAによる関税率の撤廃または削減への対応等、国産鶏肉を取り巻く環境は厳しさを増している。平成14年の国産鶏肉の好調をささえていたのが、BSEによる代替需要と表示違反により高まった国産品志向であった。BSE特需は牛肉への消費が完全とはいえないまでも回復基調にあり、一時的なものであったこと、国産品志向もすべての消費者にあてはまることでなかったことが、15年からの国産鶏肉の下落の要因である。テーブルミートは国産、加工品は輸入品という今までの仕分けが変化してきており、量販店の店頭で輸入品がたくさん販売されるようになってきている今日、国産品も加工・業務用へのこだわりの食材としての拡大を期待したい。