畜産物の需給動向

 3 豚肉 


▼小売価格
14年度の小売価格、輸入品はわずかに上昇
 10年度以降、国産ロースの年度平均小売価格は、ほとんど変化しておらず、14年度の国産品は230円/100g(2.2%)とわずかに値を上げた。
 一方、輸入ロースは低下傾向にあったが14年度は171円/100g(3.0%)とやや値を上げた(図23、P.99)。
 また、国産もも肉も、11年度までほとんど変化していなかったが、14年度は国産品は163円/100g(1.2%)とわずかに値を上げた。輸入もも肉については、14年度は128円/100g(16.4%)と大幅に前年度を上回った。国産もも肉はこの5年間でほぼ横ばいを続けているのに対し、輸入もも肉はほぼ値を戻した(図24、P.99)。

メキシコとのFTA(自由貿易協定 ※)の今後
 FTA合意期限の10月に向けてメキシコと政府間交渉が進められている。メキシコの対日本輸出金額のうち約1割を豚肉が占めており、平成14年度の輸入数量は38,137トン(輸入豚肉全体の5%)となっているため、メキシコ側は豚肉をはじめとする農畜産物の関税撤廃を強く主張している。
 日本の養豚農家戸数はこの10年間で約3分の1近くにまで減少。最近では家畜排せつ物法の施行を背景にふん尿処理施設の整備が重い負担となっている中で、養豚農家1戸当たりの飼養頭数1千頭という規模拡大を図っている。そのような状況下で、メキシコとの間で豚肉関税の撤廃が実現すれば今以上に安い豚肉が大量に輸入されることになり、国内の養豚農家の影響は大きいことになる。
※ 自由貿易協定(FTA)……2国間または複数の加盟国間で締結し、加盟国間の関税や輸出入制限などの貿易障壁を撤廃する地域貿易協定。WTO上一定のルールの下に認められている。