畜産物の需給動向

 4 鶏肉 


▼輸 入
15年度の輸入量は、前年度をかなり大きく下回り、43万トン(▲13.1%)
 鶏肉の輸入量は、そのほとんどが冷凍品で、業務、加工向けなどの需要にあった安価で使いやすい製品が供給されてきたことなどから13年度までは増加傾向で推移してきた。しかし、15年には主要な鶏肉などの輸入先であるタイ、中国、米国で鳥インフルエンザが発生し、輸入一時停止措置がなされたことなどから、前年度をかなり大きく下回る430,332トン(▲13.1%)となった。国別にみるとタイ、中国、米国の代替輸入先として、輸入が拡大したブラジル産が最も多くなり、次いでタイ産、中国産、米国産となっている。(P.101、102)。

 

図7 鶏肉の冷凍品、冷蔵品別輸入量
図8 鶏肉の国別輸入量


資料:財務省「貿易統計」
資料:財務省「貿易統計」

 

調製品
図9 鶏肉調製品の国別輸入量
 鶏肉調製品(焼き鳥、チキンナゲット、唐揚げなど)の輸入量は、安い素材を求める外食・業務用製品向けとして、中国産、タイ産が全体の97%程度を占めていた。しかし、鳥インフルエンザの発生により、中国、タイからの輸入が一時停止したため、16年2月以降、鶏肉調製品の輸入量は激減した結果、15年度は、202,493トン(▲7.9%)と前年度をかなりの程度下回った。なお、調製品については、輸入が許可された指定工場で生産された加熱調製品についてのみ、輸入が続けられている(図9、P.102)。
資料:財務省「貿易統計」
国別輸入量
図10 中国産鶏肉の輸入量
 中国産の輸入量は、6年度以降国別で最大のシェアを占めていたが、13年度以降、鳥インフルエンザの発生でたびたび輸入一時停止措置がとられたため、大幅に減少し、14年度もさらに減少した。15年度においても、5月および16年2月に鳥インフルエンザの発生により輸入一時停止措置がとられたため、輸入量は43,476トン(▲64.2%)と激減した。
 冷蔵品については、日本へ短時間で輸送が可能であり、国産鶏肉の代替需要などもあって、11、12年度とかなり大きく増加したが、13年度以降は鳥インフルエンザの影響でかなり大きく減少し、15年度は2,441トンと84.9%の減少となった。(図10、P.102)。
資料:財務省「貿易統計」
図11 米国産鶏肉の輸入量
 米国産の輸入量は減少傾向で推移しており、13年度以降は衛生問題により、たびたび輸入停止措置がとられた。15年度も16年2月の鳥インフルエンザ発生により輸入一時停止措置がとられたため41,094トン(▲17.1%)と大幅に減少した(図11、P.102)。
資料:財務省「貿易統計」
図12 タイ産鶏肉の輸入量
 タイ産は、9年の経済危機を契機にタイバーツ相場急落の影響により輸出競争力を回復し、10、11年度と順調に輸入量を延ばした。12年度はやや減少したものの、13年度以降は、中国産、米国産の度重なる輸入一時停止により、タイ産にシフトすることとなり、第1位の輸入シェアとなった。15年度は平成16年1月に鳥インフルエンザの発生により輸入一時停止措置がとられ、146,252トン(▲12.4%)とかなり大きく減少した(図12、P.102)。
資料:財務省「貿易統計」
図13 ブラジル産鶏肉の輸入量
 ブラジル産は、9年度、10年度は、タイ産の増加などの影響を受け、大幅に減少した。しかし、11年1月には変動相場制に移行し、通貨レアルが下落したことから価格競争力を回復し、11年度以降大幅に増加した。13年度、14年度と中国、米国からの輸入量の減少により月別に見ると、タイを抜いて第1位となることもあった。15年度においては鳥インフルエンザの発生により輸入一時停止措置がとられたタイ、中国、米国の代替輸入先として輸入量を伸ばし193,955トン(26.6%)と最大の輸入相手国となった。(図13、P.102)。
資料:財務省「貿易統計」