畜産物の需給動向

 7 飼料 


▼飼料用とうもろこしの輸入
15年度のとうもろこし輸入量は1,221万トン(▲2.6%)、輸入価格は高水準
輸入量
図8 飼料用とうもろこしの輸入量
資料:財務省「貿易統計」


 配合飼料の主原料となる飼料穀物(とうもろこし、こうりゃん、大麦、小麦等)は、そのほとんどを海外に依存している。とうもろこしは全体の約7割を占め、そのほとんどを米国から輸入している。

 とうもろこしの輸入量は、13年度、14年度と増加傾向で推移していたが、15年度には前年度を2.6ポイント下回る1,221万トンとなった。

 国別にみると、米国産が前年度を6.0ポイント下回る1,135万トンにとどまったが、対照的にアルゼンチン産は56.9ポイント上回る26万トン、中国産は前年度の2.7倍に相当する59万トンといずれも大幅に増加した(図8、P.125)。


牛のせき柱の飼料・肥料への利用を禁止
 内閣府食品安全委員会は15年11月21日、背根神経節を含む牛のせき柱について、「特定危険部位に相当する対策を講じることが適当」との食品健康影響評価を公表した。
 これを受けて、農林水産省は、牛のせき柱の飼料・肥料への利用を禁止するため、
(1) 牛用飼料(めん羊、山羊およびしか用を含む)について、レンダリング処理された反すう動物由来の動物性油脂の使用を禁止するとともに、牛用以外の家畜用飼料についても、牛のせき柱および死亡牛に由来する動物性油脂を含むことを禁止し、これらが含まれていない製造工程で製造されていることについての農林水産大臣の確認制度の導入を行うこととし、「飼料及び飼料添加物の成分規格等に関する省令」を改正した。

(2) 肥料についても、肥料の原料に牛のせき柱および死亡牛に由来するものを含むことを禁止し、これらが含まれていない製造工程で製造されていることについての農林水産大臣の確認制度の導入を行うこととし、「肥料取締法に基づく農林水産省告示」を改正した。

 なお、これらの措置は、飼料・肥料の製造については16年5月1日から実施される、それ以前に製造された飼料・肥料については、同年6月末までの販売・使用が認められる。


輸入価格

図9 とうもろこしの価格と為替相場

 とうもろこしの国際価格(シカゴ相場)は、8年5月には500セント/ブッシェル近くまで高騰し、その後軟調に推移し10年8月に187セント/ブッシェルまで急落したが、11年以降おおむね200セント/ブッシェルで推移していた。

 13年度は、7月初旬に中国等への輸出成約や米国における受粉期の高温乾燥の懸念から上昇したが、その後は作柄の回復によりおおむね軟調に推移した。

 14年度は、5月の降雨等による作付けの遅れ、7月以降は干ばつ等により上昇し、9月は一時280セント/ブッシェルまで上昇した。その後、生産量が上方修正されたこと等により10月は250セント/ブッシェル、12月には232セント/ブッシェルまで落ち込み、その後は240セント/ブッシェル前後で推移した。(図8、P.125)。

資料:東京三菱銀行、財務省「貿易統計」、日本経済新聞(シカゴ相場、先物、期近価格)
 注:とうもろこし1ブッシェル(約36リットル)は約25.4kg