畜産物の需給動向

 4 鶏肉 


▼輸 入
16年度は、前年度をかなり大きく下回り、36万5千トン(▲15.1%)
 鶏肉の輸入量は、そのほとんどが冷凍品で、業務、加工向けなどの需要にあった安価で使いやすい製品が供給されてきたことなどから1 3年度までは増加傾向に推移してきた。しかし、1 5 年度以降は主要な鶏肉などの輸入先であるタイ、中国、米国で鳥インフルエンザが発生し、輸入一時停止措置がなされたことなどから、1 6年度は前年度をかなり大きく下回る3 6 5 , 2 9 2トン(▲ 1 5 . 1%)となった。国別にみるとタイ、中国、米国の代替輸入先として、輸入が拡大したブラジル産が最も多くなり、次いで米国産となっている。(P.183、184)。

 

図7 鶏肉の冷凍品、冷蔵品別輸入量
図8 鶏肉の国別輸入量


資料:財務省「貿易統計」
資料:財務省「貿易統計」

 

調製品
図9 鶏肉調製品の国別輸入量
 鶏肉調製品(焼き鳥、チキンナゲット、唐揚げなど)の輸入量は、安い素材を求める外食・業務用製品向けとして、中国産、タイ産が全体の9 7%程度を占めていた。しかし、中国およびタイにおける鳥インフルエンザの発生により、1 5年度は、2 0 2 , 4 9 3トン(▲7 . 9%)と前年度をかなりの程度下回った。しかし、1 6年度は、輸入が許可された中国、タイの指定工場で生産された加熱調製品の輸入が増大し、2 7 1 , 7 3 2トン(34.2%)と大幅に増加した(図9、P.184)。
資料:財務省「貿易統計」
国別輸入量
図10 中国産鶏肉の輸入量
 中国産の輸入量は、6年度以降国別で最大のシェアを占めていたが、1 3年度以降、鳥インフルエンザの発生でたびたび輸入一時停止措置がとられたため、大幅に減少し、1 4年度もさらに減少した。1 5年度においても、5月および1 6年2月に鳥インフルエンザの発生により輸入一時停止措置がとられたため、輸入量は4 3 , 4 7 6トン(▲ 6 4 . 2 %)と激減し、1 6年度は9 2 5トン(▲ 97.9%)に落ち込んだ。

 冷蔵品については、日本へ短時間で輸送が可能であり、国産鶏肉の代替需要などもあって、1 1、1 2年度とかなり大きく増加したが、1 3年度以降は鳥インフルエンザの影響でかなり大きく減少し、1 6年度の実績はなかった。(図1 0、P.184)。

資料:財務省「貿易統計」
図11 米国産鶏肉の輸入量
 米国産の輸入量は減少傾向で推移しており、1 3年度以降は衛生問題により、たびたび輸入停止措置がとられた。1 6年2月に鳥インフルエンザが発生し輸入一時停止措置がとられたため、1 5年度以降も輸入が減少し、1 6年度は3 1 , 5 4 1トン(▲23.2%)と大幅に減少した(図11、P.184)。
資料:財務省「貿易統計」
図12 タイ産鶏肉の輸入量と輸入価格(CIF)
 タイ産は、平成9年の経済危機を契機にタイバーツ相場急落の影響により輸出競争力を回復し、1 0、1 1年度と順調に輸入量を延ばした。1 2 年度はやや減少したものの、1 3年度以降は、中国産、米国産の度重なる輸入一時停止により、タイ産にシフトすることとなり、第1位の輸入シェアとなった。平成1 6年1月に鳥インフルエンザが発生したことにより輸入一時停止措置がとられ、1 5年度はかなり大きく減少し、1 6年度は68トン(▲99.9%)となった(図12、P.184)。
資料:財務省「貿易統計」
図13 ブラジル産鶏肉の輸入量と輸入価格(CIF)
 ブラジル産は、1 1年1月の変動相場制への移行により、通貨レアルが下落したことから価格競争力を回復し、1 1年度以降大幅に増加した。1 5年度においては鳥インフルエンザの発生により輸入一時停止措置がとられたタイ、中国、米国の代替輸入先として輸入量を伸ばし、1 6年度はこの傾向をさらに強め3 2 3 , 2 7 5トン( 6 6 . 7%) と最大の輸入相手国としての地位を固めた。(図13、P.184)。
資料:財務省「貿易統計」