畜産物の需給動向

 3 豚肉 


▼生 産
16年度は、88万4千トンと0.9%の減少
1 5年度に国内生産量が増加したが、1 6年度は、猛暑の影響などからと畜頭数、枝肉重量ともにわずかに減少し、前年を8千トン下回る8 8 3 , 9 2 9 トン(▲0 . 9 %)となった。平成1 3年度から3年ぶりに前年を下回った。(図4、P.170、181)

と畜頭数は、堅調な需要を背景に1 3年度を底に徐々に回復し、1 6年度は1 6 , 4 8 3 , 1 9 4頭(▲ 0.5%)となった。平均枝肉重量は、経営の大規模化を背景とした斉一性や産肉性などに重点をおいた改良効果により、近年増加傾向にあったが1 6年度は、早出し、猛暑などの影響により平均7 6 . 6 k g/頭(▲0.4%)となった(図5、P.170)。


図4 豚肉生産量と子取り用めす豚の頭数
図5 豚のと畜頭数と枝肉重量の推移


資料:農林水産省「畜産統計」、「家畜の飼養動向」、「食肉流通統計」
注1:生産量は、部分肉ベース
 2:子取り用めす豚の頭数は、各年とも2月1日現在
資料:農林水産省「食肉流通統計」
 注:平均枝肉重量は全国平均


輸入量、5年ぶりにデンマーク産が米国をぬいて首位に
豚肉輸入量は、1 3年度以後牛肉や鶏肉の代替需要から、年々増加傾向にある。1 6年度は前年度比8万4千トン増の86万2千トンとなった。

1 6年度の輸入量を国別にみるとデンマークが2 6 万5千トン(シェア3 1 %)、米国が2 5万7千トン(同3 0 %)、カナダが1 8万9千トン(同2 2 %)、チリ4万1千トン(同5%)、メキシコ3万2千トン(同4%)となった。米国産は、従来から多かった冷蔵品に加えて、冷凍品も増加させ、1 2年度以来首位であったが、1 6年度はデンマークが5年ぶりに順位を逆転させた。

デンマーク産はほとんどが冷凍品であり、ベーコンなどの原料となる「ばら肉」(ベリー)が大部分を占めている。限られた生産環境の中で国策としての豚肉生産は、高コストでありながらも高い効率性と技術力を武器に、実需者のニーズに合わせた商品作りが可能なことがデンマークの大きな特徴となっている。1 6年度は特に米国産牛肉の輸入停止措置により、その代替品としてのばら肉の需要が大きかったと推定される。

また、輸入量の伸び率を国別に見ると、チリ(前年度比4 3 . 9 %増)、デンマーク(同1 3 . 5 %増)、カナダ(同9 . 3 %増)と対日輸出態勢の整ったチリが大きく伸ばしている。なお、チリとは1 6年1月にF T A協定締結を視野に入れた共同研究が開始された。