畜産物の需給動向

 6 鶏卵 


▼卸売価格
17年度の卸売価格(東京・M)は、186円/kg(▲9.3%)とかなりの程度下落
図9 鶏卵の卸売価格(東京・M)とひなのえ付け羽数

 鶏卵は自給率が約95%と高いため、鶏卵の卸売価格は生産量の変動が大きく影響する傾向にある。鶏卵の卸売価格の動き(対前年度増減率)を見ると、昭和55年度、60年度、平成2年度、8年度、11年度とほぼ5年周期でピークを迎えている。1つのピークを過ぎると約2年で谷になり、その後約3年間で再びピークになる。この周期的変動には、ひなえ付け羽数が大きく影響している。高卵価に刺激され、え付け羽数が増加することによって、生産量が増加し、卵価の低落を招いている(図9、P.217)。
 17年度は、186円(▲9.3%)と、16年度の卸売価格が高騰していたため、前年度と比較するとかなりの程度下落したが、依然として堅調に推移している。

   
図10 鶏卵の卸売価格(東京・M)  
 生産者団体は、安定的な卵価を維持するための基金を設け、基準取引価格を下回った場合に補てん金が支払われる体制を整えている(鶏卵価格安定対策事業)。各年度の卸売価格と鶏卵価格安定対策事業による補てんは以下のとおり。

 13年度は、ほとんどの月で卸売価格が低迷した。鶏卵価格安定対策事業による補てんは、13年4〜10月および14年1、3月の9回行われた。

 14年度は、14年12月までは前年を上回って推移したものの、15年1月は冬場の需要期にもかかわらず141円と低迷した。鶏卵価格安定対策事業による補てんは、14年4〜8月、15年1、3月の7回行われた。

 15年度は、卸売価格が大幅に下落した影響で、すべての月において補てん基準価格を下回り、鶏卵価格安定対策事業による補てんが10回行われた。そのため、年度後半には交付金の財源が枯かつする事態にまで陥った。

 16年度は、鳥インフルエンザの発生や夏の猛暑などによる鶏卵生産量の減少が影響して、冬場の需要などを満たしきれなかったことから、卵価は年度後半にかけて高騰した。そのため、鶏卵価格安定対策事業による補てんは、年度途中に基準取引価格の引き上げ(142円から159円へ改定)があったにもかかわらず、16年7月の1回のみにとどまった。

 17年度は、17年7月以降卵価が前年同月を下回って推移し、7,8、1月の卸売価格は17年度の補てん基準価格である163円を下回った。そのため、鶏卵価格安定対策事業による補てんの実績は、17年7月に2回、8月に5回、18年の1月に18回となった。

 

表 鶏卵価格安定制度による補てん実施状況等