畜産物の需給動向

 7 飼料 


▼飼料用トウモロコシの輸入
17年度は1,213万トン、価格は小幅に変動
輸入量
図8 トウモロコシの輸入量


 配合飼料の主原料となる飼料穀物(トウモロコシ、こうりゃん、大麦、小麦など)は、そのほとんどを海外に依存し、トウモロコシは輸入量全体の約7割を占める。

 トウモロコシの輸入量は、13年〜15年度に増加傾向で推移したが、16年度に前年度を5.8ポイント下回る1,183万トンとなった。17年度は2.6ポイント上回る1,213万トンとなった。

 国別にみると、輸入量の9割以上を占める米国産が前年度を1.2ポイント上回る1,145万トン、中国産は前年度を20.6ポイント上回る61万トン、前年度実績のなかったアルゼンチンからも6万トンが輸入された(図8、P.220)。

 


飼料自給率向上へ、国産稲わらの飼料利用を推進
 飼料自給率は、昭和40年度の55%から低下してきたが、昭和50年代中頃から横ばい傾向で推移しており、平成17年度は25.4%となっている。
 その中で飼料用稲わらの自給率は90%前後と非常に高く、残りの10%程度が輸入でまかなわれている。平成16年度には、需要量107万トンに対し15万トンが輸入された。

 このように、一部を輸入で賄う状況下にあって、平成17年5月、同国で口蹄疫の発生が確認されたことから、5月28日以降、中国産稲わらの輸入一時停止措置が執られた。

 農林水産省は、飼料自給率の向上および中国の口蹄疫問題を考慮した上、稲わらに関しては需要量を国内産で賄うことができる状況にあることから、すき込み、焼却されている国産稲わらの飼料利用を推進している。

 17年5月に開催された飼料増産行動会議においては、「飼料自給率向上に向けた行動計画」が策定され、これに即した取り組みが推進されることとなった。具体的な行動として、稲わらの需要量、供給可能量を畜産農家、水稲農家双方に対するアンケート調査により把握し、都道府県単位で取りまとめ、需給マップが作成された。この需給マップに基づき、県、市町村、農協間での需給調整が行われている。

 また、9月には、需給調整を目的とした全国会議が開催され、県域、農政局単位のブロックを超えた広域流通が実施されることとなった。9月の時点では、平年の輸入依存量に相当する16万トンが必要量とされていたが、会議後、10〜12月の3カ月間で新たに国産飼料用稲わらが9万トン確保されたこと、完全自給を達成したブロックからほかのブロックへの供給などが実施されたことから、北海道、関東、東北ブロックでは完全自給が達成された。平成17年度産の飼料用稲わらは前年を17ポイント上回る108万トンが確保されており、輸入量も前年を73.6ポイント下回る5.1トンとなった。

輸入価格

図9 とうもろこしの価格と為替相場

 トウモロコシの国際価格は、14年度に、米国の主産地における干ばつなどが原因となって作柄が悪化したため上昇に転じた。15年度は、天候に恵まれたことから価格が下落したものの、世界の在庫水準が低水準となると見込まれたため、上昇傾向で推移した。

 平成16年度になると、中国の需要動向を受けて4月上旬に330セント/ブッシェルを記録したが、米国における良好な生育により、史上最高の生産量が見込まれたため、価格は大幅に下落した。

 17年度には、乾燥による生育への影響が懸念され、7月には再び263セント/ブッシェルまで上昇した。その後、昨年につぐ史上2番目の生産量が確保されるとの米国の需給報告により下落したが、11月以降、トウモロコシ市場への運用財産(ファンド)の流入により上昇傾向で推移した(図9、P.220)。