海外編

 IV 東南アジア 


1. 一般経済の概況
 東南アジア諸国連合(アセアン)加盟国の経済は、一部の国で鳥インフルエンザ(AI)の発生による影響を受けたほか、域内イスラム過激派などの活動による緊張が継続し、年末にはスマトラ沖地震によりインド洋に面する地域で被害が発生した。しかし、外国直接投資の中国への一極集中を是正する動きや、貿易自由化の進展などにより、おおむね各国とも前年以上の実質国内総生産(GDP)の伸びを記録した。

 ブルネイは原油、石油製品および液化天然ガスなどが輸出総額の9割を占めるという天然資源への過度の依存からの脱却を目指して、経済の多角化を図るため、第8次五カ年計画(2001 〜2005年)が進められている。2004年9月には、1984年の独立後から停止されている議会が再開され、憲法改正により、公選議員も含まれることとなった。実質GDP成長率は2003年の3.8%から1.7%に減速した。

 カンボジアは2003年7月末に総選挙が実施されたが、政党間の駆け引きの長期化により、翌年7月に連立政権が成立した。2004年の実質GDP成長率は前年5.1%を上回る7.7%だった。主要輸出品である繊維製品の輸出総額に占める割合は約2割となっている。しかし繊維製品の輸出の7割が米国に仕向けられており、その輸出枠の設定は2004年までとなっている。また、もう一つの外貨獲得産業である観光は、前年のSARSによる影響から回復した。10月には承認後1年を経てWTOに正式加盟した。

 インドネシアは、1997年の経済危機以降6年間にわたり業績が悪化した銀行などの再編業務を行ってきた銀行再編庁(BPPN)が2004年2月に解散した。2004年の実質GDP成長率は前年比5.1%で、前年の4.1%を超えた。ただし、2002年のバリ島のディスコ爆破事件以後もテロ事件が続発しており、2004年9月には豪州大使館爆弾テロ事件が発生、治安の悪化などが海外投資家の懸念材料になっている。また、年末にはスマトラ沖地震が発生し、アチェ・ダルサラーム州を中心に甚大な被害が発生した。

 マレーシアは、2004年1月から日本との間のFTA交渉を開始したが、マレーシア側の自動車保護政策が交渉進展の障害となった。3月には連邦下院第11回総選挙が実施されたが、アブドラ首相が率いる国民戦線が全議席の約9割を占め、圧勝した。実質GDP成長率は7.1%と前年の5.2%を上回る伸びを見せた。これは主たる貿易相手国である米国などへの輸出が伸びたためである。8月にはAIの発生が確認され、家きん製品の輸出が一時ストップした。年末にはスマトラ沖地震により、ペナン島を中心に多数の犠牲者が発生した。

 ラオスは、鉱工業や建設、観光、電力の伸びが寄与し、2004年の実質GDP成長率が6.3%と前年の5.8%を上回った。消費者物価上昇率が前年の13.9%から10.3%に低下した。人口の8割が農村部に居住し、農業が実質GDPの約半分近くを占めるが、その伸び率は平均以下であった。水力発電による電力、繊維製品および木材製品が輸出を主導しているが、輸出相手国の第1位は、2001年から電力輸出などでタイとなっている。また国内を貫通し、ベトナムとミャンマーを結ぶ「東西経済回廊」の建設が進められている。

 ミャンマーは、政府が2003年5月にアウン・サン・スー・チー女史を再度自宅軟禁下に置いた状況が継続しており、米国は6月に同国に対する経済制裁措置の1年延長を決定した。10月、穏健派といわれるキン・ニュン首相が更迭され、ソー・ウイン国家平和発展評議会(SPDC)第一書記が首相に就任したが、国内外の政策に変更は生じていない。また同月、EUがミャンマーの民主化状況に進展が見られないとして、ミャンマー国営企業への借款の禁止などを含む制裁措置の強化を決定した。

 フィリピンは、輸出やサービス産業の伸びを背景に実質GDP成長率は6.1%と前年を上回った。一方、消費者物価指数は石油製品の値上がりなどが影響し、ここ10年来の高水準となる7.6%に達した。5月の大統領選挙には現職のアロヨ大統領が再選した。11月には日本との経済連携協定(EPA)の締結に関して大筋合意がなされた。

 シンガポールは、2003年3〜5月にかけてSARSの影響により観光および運輸業が大きな打撃を受けたが、その後回復し、8.4%の実質GDP成長率となった。2004年1月には米国とのFTAが発効し多くの品目で関税が撤廃された。8月に隣国のマレーシアでAIが発生し、同国からの家きん製品の輸入を一時中止したが、州を限定して約1カ月後に輸入を再開した。

 タイは、2004年1月に発生を確認したAIにより、鶏肉産業を中心に家きん製品輸出の停止など大きな影響を受けた。実質GDP成長率は、自動車産業が好調であったものの、AIのほかに原油高の影響もあり前年の7.0%から6.1%にやや減速した。バンコクでは地下鉄が開通するなど、インフラの整備も進みつつあるが、南部情勢が社会不安につながっている。また年末にはスマトラ沖地震によりリゾート地で多くの犠牲者が発生した。

 ベトナムは、2004年にAIの発生が確認されたが、内外ともに強い需要が着実な経済成長を支え、実質GDP成長率は前年の7.3%を上回る7.7%となった。工業分野の伸びが10.1%と前年に引き続き高く、サービス分野が前年を1ポイント上回る7.5%だった一方、農業分野は3.5%と前年並みであった。国際関係では、WTO加盟に向けた動きを進めており、10月にはEUとの交渉が完了し、米国との交渉も進行中である。

表1 主要経済指標

 

2. 農・畜産業の概況  

 アセアン10カ国のうち、シンガポールとブルネイは、GDPに占める農業の割合が5%以下と低く、マレーシア、タイ、フィリピン、インドネシアは、GDPに占める農業の割合が9%〜15%台となっている。ベトナムは同22%となっているが製造業の発展により、これら4カ国の状況に近づきつつある。これら5カ国では、多くの農村人口を抱えており、農村が失業者の緩衝機能を果たしているといわれている。

 また、米などの主要作物の価格が政策的に低く抑えられているため、農業分野の生産額が高くならないという特徴も有している。GDPに占める農業の割合については、カンボジアが40% に満たないものの、ラオスが50%を若干下回り、ミャンマーは、50%を超えている。

 政情不安が長引いたカンボジアなどの国では、ほかの産業の発展が遅れているため、相対的に農業の比重が高いが、政情の安定化に伴って農業の比重が低下してきている。

 マレーシアは、油ヤシ、ゴムなど永年性作物の栽培が多く、油ヤシの下草などを利用した畜産物の生産拡大の可能性はあるものの、将来的に食用作物栽培が増え、飼料資源が拡大するとは考えにくい。一方、フィリピンは、トウモロコシ、米などの食用作物が中心となっている。アセアン諸国中、ベトナム、タイ、ミャンマーは米の輸出国である。

 畜産物の生産量は、食習慣、宗教、エネルギー事情などを反映して、各国ごとに畜種の重要度が異なっている。

表2 アセアン諸国の主要穀物および畜産物生産量

 

3. 畜産の動向  
(1)酪農・乳業 

 東南アジア諸国では、一般に牛乳・乳製品は、伝統的食文化としての位置付けが低く、また、気候条件が酪農にあまり適していないことや良質な飼料が得られにくいことなどもあり、酪農・乳業は欧米諸国に比べて活発ではない。従来から、乳製品の主体は全粉乳などの粉乳類か、缶入り加糖れん乳主体であったが、冷蔵施設の普及に伴い、特に各国都市部およびその周辺では飲用乳の需要も高まりつつある。

 東南アジアでは、各国とも牛乳・乳製品の自給自足にはほど遠い現状にあるが、生乳生産、工場インフラ、地理的条件などを総合的に考慮すると、将来的には、輸入乳製品からの還元乳の製造を含め、タイやベトナムがインドシナ半島諸国の牛乳・乳製品供給基地になるとの見方が有力である。また、2億を超える人口を擁し、ジャワ島を中心に近年経済発展を遂げているインドネシアにおける需要の伸びも期待されている。

 東南アジアでは、乳脂肪の一部または全部を価格の安いパーム油などの植物性脂肪で置き換えた、国際規格上は乳製品表示の行い得ない模擬乳製品が普及しており、これに加えて、各国統計上の取り扱いもあいまいであることから、乳製品に対する需給は概して不透明なものとなっている。


@生乳生産動向
 乳牛の飼養頭数は、タイとフィリピンで増加し、インドネシアとマレーシア(2003年)では減少した。

 タイの乳牛飼養頭数は、99年以降一貫して増加傾向で推移しており、2004年には前年に比べ7%増の41万頭となっている。同年の生乳工場における処理量(表4の国内生産量)は84万3千トン、このうちのほとんどは飲用乳に加工され、残りはヨーグルトなどに加工されている。近年の生乳生産量の増加は、国内における牛乳消費量に大きな比重を占める学乳供給が政策的意図により拡大しており、2001年から学校供給用牛乳に国産生乳の100%使用が義務付けられたことなどに伴って、生産者が増頭を図ったことなどが主な要因と考えられる。

 インドネシアは乳牛飼養頭数がタイに次いで多いものの、そのほとんどはジャカルタなど大消費地に隣接するジャワ島の冷涼な気候の山岳地域で飼養されている。同国では遺伝的能力の高い繁殖牛の不足に加え、平均飼養頭数約3頭と零細な経営が多くを占めており、技術指導の不徹底などの問題を抱え、前年比3%減の36万4千頭となっている。同国は政府が乳用牛増頭計画を掲げているものの、計画達成のための一つの方策である人工授精がジャワ島以外では極めて限定的であることや、2000年以降計画に沿った人工授精が行われていないことなどにより増頭計画が思うようにはかどっておらず、主要生産州の中には豪州からの生体牛輸入による増頭を要望するなどの動きが見られる。

 マレーシアの乳用牛は大半が半島部で飼養されており、中でも大消費地であるシンガポールに国境を接するジョホール州が全体の約3割を占め、最大である。また、同国の乳用牛は8割以上がホルスタイン交雑種である。同国は歴史的に天然ゴムや油ヤシのプランテーションのための土地開発が多く、反すう家畜のための飼料基盤の不足から政府の振興策ははかどっていない。2003年の乳用牛頭数は半島部で2万8千頭とされる。

 ベトナム農業・農村開発省によると、2004年は南部ホーチミン周辺のメコンデルタ地域を中心に乳用牛全体でおよそ9万6千頭が飼養され、15万トンの生乳が生産された。同国では2001年以降、豪州やオランダから乳用牛の雌子牛を導入すると同時にホルスタイン種などの精液を用いて在来種に人工授精を行い、交雑種作成を活発化するなど、酪農振興に取り組んでいる。2003年の平均乳量は、搾乳期間305日で交雑種の場合およそ3,500リットル、純粋種で4,500リットルとされる。なお輸入純粋種は耐暑性など気候適応性に劣るため、小規模経営には奨励されていない。

 フィリピンでは約1万2千トンの生乳を生産しているが、これには政府の統計上水牛乳、ヤギ乳を含む。生産量のうち牛乳は約6割、水牛乳は4割、その他若干のヤギ乳となっている。同国の生乳換算による自給率は1%未満となっており、消費量のほぼ全量が輸入品および輸入品を原料とした加工品となっている。また、自国における後継牛の確保が進んでおらず、国内の牛群の規模も小さいことから、わずかな頭数の増減が生乳生産の大きな変化として表れる。また、政府の酪農振興方針として乳用牛と乳用水牛、乳用ヤギなどが並行して存在するのが特徴である。

表3 乳用牛の飼養頭数と生乳生産動向
表4 牛乳・乳製品の需給


A牛乳・乳製品の需給動向
 生乳換算で見た場合、各国の牛乳・乳製品の輸入量は、国内生産量の約1.2〜180倍と非常に幅がある。東南アジアにおける輸入乳製品の中心となるのは粉乳であり、そのまま小分けして販売されるほか、LL牛乳や缶入り加糖れん乳なども、全粉乳や脱脂粉乳から還元製造されるものが多い。
 タイでは、近年、飲用乳製品の消費が伸びている一方、牛乳・乳製品の輸出量が国内生産量を上回っている。この理由として、現在国内には生乳から粉乳を生産する加工場がないため国内生産乳は全量飲用乳に加工される一方、豪州など海外から粉乳を輸入し、再加工あるいはリパックする加工工場が国内に多く存在し、周辺国へ乳製品を輸出していることが挙げられる。国民1人当たりの消費量は生乳がおよそ15.6キログラム、このほかに、乳製品が13.3キログラムとなっている。
 マレーシアでは、居住人口の約8割を占める半島部に生乳生産が集中しており、国内生産量の85%を占める。また、1人当たりの年間消費量は51.7キログラム(半島部だけでは64.4キログラム)と、東南アジア最大となっている。国内生産量の約6倍を輸出しているが、ほとんどが調製品および加工食品に含まれる乳成分である。
 インドネシアの乳製品需要は首都であるジャカルタ特別市の1人当たり年間消費量が23キログラムと突出しているが、ほかの多くの州では多くても8キログラムとなっており、乳製品の需要は少ない。
 そのほかの国における乳製品の消費をみるとフィリピンは粉乳中心、マレーシア、ベトナム、ミャンマーは加糖れん乳が中心となり、ラオス、カンボジアは依然としてほとんど乳製品を消費していない。



(2)肉牛・牛肉産業

 アセアン諸国では、従来から、主に役畜として供されてきた水牛も重要なタンパク質供給源となっているため、ここでは牛肉の生産および消費の中に水牛肉を含めた。


@ 肉牛の生産動向
 牛の飼養頭数は、アセアン諸国の中ではインドネシアがミャンマーに次いで多く、アセアン先進4ヵ国の中では最大となっており、タイなどがこれに続く。

 インドネシアの肉牛飼養頭数は、97年に過去最大である1,194万頭を記録して以降、漸減傾向で推移しており、2004年は1,053万頭となっている。同国では豪州などから肥育素牛を輸入して3カ月程度肥育した後、と畜に供するいわゆるフィードロット産業が盛んである。なお牛肉生産量(生体重換算)は、2004年に49万トンとなり、前年を32%上回っている。

 一方水牛は98年以降急速に減少しており、それ以前は300万頭台で推移していたが、2004年には240万頭にまで減少している。この間水牛肉生産量(生体重換算)は4万トン台で大きな変化がないことから、農業の機械化に伴う役用の減少傾向がうかがえる。

 タイの肉牛飼養頭数は、96年以降減少していたが、政府の肉牛振興政策などにより2001年からは微増傾向に転じている。2004年は、前年を12.7%上回る666万8千頭であった。アセアン先進4カ国のうち、政策的意図により、タイだけはフィードロット経営が見られないことが特徴である。一方工業化の伸展に伴い農業の機械化が進む同国では、従来役畜として供されてきた水牛飼養頭数の減少が、ほかのアセアン諸国と比べて顕著であった。しかし、政府が同国東北部を中心として、水牛を含む肉牛飼養を奨励したことなどから、近年はおよそ160万頭で頭数減に歯止めがかかっている。2004年の牛肉生産量は11万6千トンで11%増加している。ただし同年にはミャンマー、カンボジア、ラオス、中国などの周辺国から牛9万9千頭、水牛5万3千頭が生体で輸入されており、これら関税局で把握されているほかにも実態のつかめない生体輸入が相当数存在すると言われており、関税局の統計数値と実際の需給とはある程度相違すると考えられる。

 フィリピンでは、牛・水牛ともに飼養頭数20頭未満の小規模経営が全体の9割以上を占めており、就労機会、収入の確保を目的に、農村部における零細経営を主な対象として中期農業開発計画などで畜産活性化策を打ち出しているため、肉用牛、水牛頭数ともに増加傾向で推移している。特に、政府の振興策などにより水牛飼養頭数はアセアン最大である。ただし、輸入生体牛を用いたフィードロット経営は生産規模の点で近年停滞傾向が見られる。

 ベトナムの2004年の牛飼養頭数は491万頭、水牛は287万頭とされており、牛飼養頭数は年々増加傾向で推移している。水牛は1995年から2000年の間に一時頭数が減少したものの、2000年以降はわずかながら回復し、ほぼ横ばい傾向で推移している。これらの生体重換算による生産量は合計18万トンで、年々増加傾向を示している。


表5 肉牛の飼養頭数と牛肉生産動向
 
 


A 牛肉の需給動向

 インドネシアの牛肉輸入量は前年の1万1千トンから1万2千トンに増加した。主な輸入先は豪州、ニュージーランド(NZ)などである。年間1人当たりの牛肉消費量は2.3キログラム程度とされている。畜種ごとの統計はないものの、食肉全体の消費がジャカルタなど一部地域に集中していること、民族・宗教によって食肉に対する慣習が異なることなどから、消費動向における地域差が大きいことが推察される。

 タイでは2004年の年間1人当たりの牛肉消費量はおよそ1.5キログラム、2001年以降減少傾向で推移してきたが若干回復している。同年の牛肉の輸入は2千トン程度とわずかで、その大部分が豪州とNZ産である。

表6 牛肉の需給
 マレーシアは人口が少ないこともあり生産規模はわずかであるものの、半島部を中心に生産量が増加しつつあり、2003年の生産量は水牛肉と合わせて2万4千トンとなったが、輸入量が10万トンと消費量の多くを輸入に頼っている。また消費は、年間1人当たり消費量が5.1キログラムとアセアン各国の中では突出している。

 フィリピンの1人当たりの消費量は前年とほぼ変わらず4.3キログラムを維持しており、需給は安定している。輸入牛肉11万2千トンのうち水牛肉が6万5千トンと多くを占め、大部分がインド産である一方、牛肉はブラジル、豪州、NZなどからの輸入となっている。



(3)養豚・豚肉産業

 アセアン諸国では、インドネシアをはじめ宗教上の理由から豚肉を消費しないイスラム教徒の人口が多い。このため、国によって食肉における豚肉の重要度には大きな格差があり、国の政策上の位置付けもさまざまである。しかし、イスラム教徒の多い国においても、中国系住民などの豚肉需要をまったく無視することはできず、種々の規制は設けながらも養豚を許容している。

図1 豚の飼養頭数の推移
表7 養豚の現状と豚肉生産動向


@ 豚の生産動向
 東南アジアで最も飼養頭数が多いのはベトナムであり、2004年の飼養頭数は約2,614万頭となっている。同国の養豚の大部分は小規模農家による在来種、もしくは在来種をベースにした交雑種を用いたものであるが、政府系または民間の経営による外来種の三元交配種を使った数千頭規模の大規模養豚が増加しつつある。

 ベトナムに次いで飼養頭数が多いフィリピンは、宗教的制約が少ないため、94年以降、飼養頭数は順調に増加しており、2004年は前年比2%増の1,256万頭となっている。

 タイは、ブロイラーに次ぐ輸出産業として養豚振興を推進してきており、97年には飼養頭数が1,014万頭となりフィリピンを抜いたものの、98年以降は政策意図と逆に、飼養頭数が増減を繰り返す状態が続いている。98年以降は、おおむね700万頭から800万頭台で推移しており、2003年は同12%増の782万頭となったが、2004年は同20%減の629万頭となった。

 インドネシアの飼養頭数は97年以降、減少し続けた。しかし、98年後半にマレーシアの半島部諸州で豚のウイルス性脳炎が発生したため、シンガポールが同国からの生体豚と豚肉の輸入を全面的に禁止し、輸入先をインドネシアのリアウ州に切り替えたことなどから、2000年の536万頭を底値に2001年以降の飼養頭数は増加に転じている。2004年は同3%減の598万頭とやや減少しているものの、全体として増加基調は続いている。

 マレーシアでは、ウイルス性脳炎の影響による大量と畜や廃業などにより、養豚産業の既存体質の改善が要求されており、半島部における飼養頭数は、98年から99年にかけてそれまでの240万頭台から130万頭台まで減少した。99年以降は飼養頭数が徐々に回復し、2001年以降は140万頭台で推移しており、2003年の飼養頭数は142万頭となった。また、サバ、サラワク両州を加えたマレーシア全体の飼養頭数は同1%増の207万頭となった。同国では従来の厳しい環境規制のほか2007年を期限とする新たな集中養豚地域化(IPFA)計画の実施を計画していることから、養豚産業を取り巻く環境の変化は今後も継続するものとみられる。


A 豚肉の需給動向
 2004年のフィリピンの豚肉生産量は、ほぼ前年同の136万6千トン、タイの豚肉生産量は前年比13%増の41万トン、インドネシアの豚肉生産量は同10%増の19万5千トンとなった。2003年のマレーシアの豚肉生産量は、同3%増の19万8千トン(ボルネオ島部含む)となり、総じて増加傾向を示している。

 豚の飼養頭数が増加したインドネシアは、シンガポールへの生体輸出が99年以降増加しており、シンガポール側の貿易統計上、豚の生体豚輸入は、マレーシアからのものが99年まで入っていたことしか確認出来ないが、現実にはインドネシアから、毎日1千頭程度の生体豚が輸入されている。

 2004年のフィリピンの豚肉消費量は、前年比1%減の140万トン、1人当たり消費量も同3%減の16.7キログラムとなった。タイの豚肉消費量は、同17%増の41万1千トン、1人当たりの消費量も同14%増の6.6キログラムとなっている。

 タイの豚肉消費量がこのように大幅に増加したのは、通貨危機によって落ち込んでいた経済が、いわゆるV字型回復を遂げた後も総じて順調に推移していることおよびAIの発生に伴う需要の一部シフトによるものと考えられる。

 インドネシアの豚肉消費量は、2003年には同27%減の11万7千トンであったが、2004年には同64%増の19万2千トンとなった。2003年のマレーシアの消費量は19万5千トン(半島部のみ)とほぼ前年並みで推移している。

 アセアン諸国における豚肉の消費動向は宗教の影響を強く受けており、2004年の1人当たり豚肉消費量は、イスラム教徒が人口の大半を占めるインドネシアでは0.9キログラムであるのに対し、宗教的制約の少ないフィリピンでは16.7キログラム、同様にタイで6.6キログラムとなっている。

 一方、マレーシアでは、イスラム教を国教と位置付けているものの、伝統的に豚肉食を好む中国系住民(非イスラム)が3割程度存在するマレーシア半島部の1人当たり豚肉消費量は7.8キログラムとタイを上回っており、同国の養豚が国として無視し得ない状況にあることをうかがわせている。

図2 豚肉の生産量の推移
表8 豚肉の需給



(4)養鶏・鶏肉産業

@鶏の生産動向
 東南アジアでは、2003年から2004年にかけて、インドネシア、カンボジア、タイ、ベトナム、ラオスおよびマレーシアの各国で鳥インフルエンザ(AI)の発生が確認された。2004年1月にマレーシアを除く各国政府より、相次いでAI発生について公表が行われ、マレーシアでも8月にAIの発生が確認された。各国のAIまん延防止対策は、主に殺処分により行われたが、AIがいったん沈静化しても再発が繰り返され、問題が長期化することとなった。また、タイおよびベトナムなどでは人への感染事例および死者が報告されるなど東南アジア地域における鶏肉産業へ大きな打撃を与えるとともに社会的な問題となった。

 タイの2004年におけるブロイラー、採卵鶏の飼養羽数は、同年1月に発生が確認されたAIの影響により大きく減少した。ブロイラーは、2003年の飼養羽数は前年比13%増の1億7千万羽、生産量は同16%増の130万トンであったが、2004年の飼養羽数は同38%減の1億3百万羽、生産量は同36%減の84万トンとなった。採卵鶏の飼養羽数は同14%減の2千万羽、鶏卵の生産は同22%減の40万トンとなった。

 インドネシアのブロイラー飼養羽数は、前年比15%減の7億8千万羽、生産量は10%増の85万トンとなった。飼養羽数は、AIの影響を受け大幅に減少したものの、依然として東南アジア地域では最多となっている。採卵鶏の飼養羽数は同18%増の9千3百万羽、鶏卵の生産は同25%増の76万トンとなった。AIの発生による影響はあるものの、同国において鶏卵・鶏肉の安価なタンパク源として重要性は変わっていない。

 フィリピンについては、AIの発生は確認されていない。同国のブロイラー飼養羽数は同17%減の約3千2百万羽、採卵鶏の飼養羽数は、前年なみの約1千8百万羽となった。生産量は、ブロイラーが同4%増の66万トン、鶏卵が同8%増の30万トンとなった。また、タイなどの鶏肉生産主要国におけるAI発生により、清浄国であるフィリピンから日本向けの鶏肉輸出が急増することとなった。2003年の同国から日本向けの鶏肉輸出量は約20トンであったが、2004年には約1千トンとなり前年比では4,700%増となった。

 マレーシアの2003年の飼養羽数は合計で1億6千7百万羽、うち半島部では約8割の1億3千7千万羽(ブロイラー1億1千万羽、採卵鶏2千6百万羽)が飼育されており、ボルネオ島のサラワク州で残りの2割程度、同島のサバ州ではわずかな飼養となっている。同国では、2004年8月に半島部北部においてAIの発生が確認されたため、家きんの殺処分などの防疫対策が実施された。

図3 ブロイラーの飼養羽数の推移
表9 鶏の飼養状況と鶏卵・肉の生産動向


A鶏肉の需給動向
 鶏肉消費に関しては宗教上の制約が少なく、庭先での飼養による環境保全的機能をも果たすため、東南アジアでは最も身近で重要な食肉となっている。

 インドネシアにおける2004年の飼養羽数は、タイの約7倍であるにもかかわらず、ブロイラー肉の生産量はタイとほぼ同じという状況が発生している。これは、インドネシアに限ったことではないが、ブロイラーをと畜場で処理した場合には少額ながら税金徴収の対象になることから、これを回避する方法としてと畜場以外で処理したり、生きたまま販売したりするケースが多数を占めるため、統計で補足できない生産量が相当量に上るためであると考えられる。したがって、と畜場以外での処理が簡単に行える鶏肉については、インテグレーターの市場占有度が高いタイを除き、統計上から需給動向を正確に把握することは困難である。

 また、インドネシアとフィリピンは、在来鶏の飼養羽数が多く、価格はブロイラーより高いものの、一般には在来鶏肉の方が好まれる傾向があり、需給動向を詳細に統計的に捉えることが困難である。

 ブロイラー肉の生産量は、各国の統計で見る限り、2003年までは輸出にけん引された生産拡大が進んできたタイが最も多い。しかし、タイの2004年ブロイラー肉の生産量は、生産動向で述べたようにAIが発生した影響により、2003年の130万トンから84万トンと前年比36%減となった。

 2004年1月以降、タイ産鶏肉の主要輸出先である日本およびEU各国が、相次いで同国からの家きんなどの輸入一時停止措置を実施した。その後、加熱処理された鶏肉調製品については、主要国に輸入再開を認められたものの、非加熱鶏肉の輸入停止措置は継続して行われている。そのため、同国の輸出は非加熱鶏肉から加熱処理された鶏肉調製品へとシフトしており、2004年における冷凍鶏肉の輸出量は2003年の37万1千トンから2万7千トンへ減少したが、鶏肉調製品の輸出量は2003年の12万8千トンから17万4千トンへ増加した。

 マレーシアの輸出はほとんどがシンガポールへの生体鶏となっている。マレーシアからシンガポールへの生体鶏の輸出羽数はここ数年4千万羽台で安定的に推移してきていたが、2004年8月のマレーシアにおけるAI発生により、シンガポール政府は同国からの家きん製品などの輸入を停止した。シンガポールはマレーシアから一日当たり生体鶏12万羽、同アヒル2万羽を輸入しており、シンガポールにおける鶏肉などの需要うち約5割をマレーシアからの輸入に依存していたことから、その影響は大きなものとなった。シンガポール政府は、豪州、ブラジルなどから鶏肉の代替輸入手続きを実施しているため、国民に対しパニックに陥る必要がないことをアピールしている。その後、同国政府は、マレーシアのAI対策の確認作業を実施するとともに輸出可能な生産農場を限定するなどの措置をとることにより同国からの輸入停止措置を一部解除している。

図4 ブロイラー肉の生産量の推移
表10 ブロイラー肉の需給


B鶏卵の需給動向
 東南アジア各国には鶏卵を粉卵や液卵に加工する施設がほとんどないため、市場動向に応じて価格が乱高下しやすい傾向がある。また、価格の変動に伴って生産量を調整する需給安定システムがうまく機能していないため、頻繁に供給過剰の問題を抱えることとなる。2004年の1人1年当たりの鶏卵消費量は、タイが6.3キログラム、インドネシアが3.5キログラム、フィリピンが3.3キログラムとなっており、タイを除き2003年に比べ消費量は増加している。2003年のマレーシア半島部における1人1年当たりの鶏卵消費量は14.2キログラムとなっており、2002年より4%増加した。マレーシアを除き、各国とも依然として低い消費水準にあるため、各国は供給過剰対策として消費拡大キャンペーンに力を入れている。
表11 鶏卵の需給

 東南アジアではタイのほか、シンガポール向けに輸出しているマレーシアを除き、輸出入の実績はほとんど無い。タイの2004年輸出実績は、AIの発生により前年比67%減の約4千トンと大幅に減少した。なお、シンガポールは鶏卵の1日当たり国内消費量の約2/3に相当する2百万個をマレーシアから輸入していたが、鶏肉の需給動向で述べたとおり、2004年8月のマレーシアにおけるAI発生により、同国からの家きん製品などの輸入を停止した。不足分については、豪州およびニュージーランドから手当てすることとしたが、その後、鶏肉と同様にシンガポールへの輸出可能な生産農場を限定した上で同国からの輸入停止措置を一部解除している。



東南アジアで猛威を振るった鳥インフルエンザ(AI)

 2003年12月に韓国において発生が確認されたAIは、日本、香港、中国などで相次いで発生が確認された。その後、東南アジア各国でも発生が確認され、東南アジア地域の鶏肉・鶏卵産業に大きな影響を与えた。2004年はインドネシア、カンボジア、タイ、ベトナム、ラオスおよびマレーシアでAIの発生が確認されている。2004年時点において、東南アジアでは、シンガポール、ブルネイ、フィリピンおよびミャンマーがAI未発生国であるが、フィリピンでは2005年にAI発生が疑われたものの、その後の検査では毒性の低い低病原性であることが判明している。また、ミャンマーでは、周辺国であるタイ、中国およびラオスでAIの発生が確認されていたことから、同国においてもAIの発生が疑われていたが、ミャンマー政府による公式発表は行われていない(同国政府によるAI発生の公式確認は、2006年3月12日)。主要国におけるAIの発生状況は以下のとおり。

○タイ:鶏肉輸出に大きな影響
 タイでは、2003年11月時点で鶏の大量死が確認されていたが、タイ政府によるAI発生の確認報告は、日本が2004年1月22日に同国からの家きん肉などの一時輸入停止措置を公表した翌日の1月23日であった。これは、AIの発生による産業界への影響を懸念した措置およびAIのまん延防止対策が遅れる結果にもつながったとの批判を招いた。同国におけるAI発生のピークは、2004年は2回あったとされている。タイ政府によるAI対策は、ワクチンの使用を禁止しすべて殺処分によることとされ、2004年1月23日から5月24日までの間に、ブロイラー1千万羽、採卵鶏1千7百万羽、アヒル8百万羽などの家きん約6千万羽が殺処分された。これらの対策により、同国政府は国内におけるAI警戒地域の指定をいったん解除したものの、7月上旬にAIが再発したため、再度、家きんの殺処分を主体とした防疫対策を実施し、2005年4月までに約3百万羽の家きんが殺処分された。また、2004年のAI感染による死者は12名、感染者が17名(死者含む)となった。

○インドネシア:予算不足で苦しい対応
 インドネシアでは、2003年8月頃に最初のAI感染が確認されていたが、AI発生に係る同国政府の公表は2004年1月25日であった。政府公表が遅れた理由として、関連業界に多大な損失を与えることおよび人への感染事例がなかったことが挙げられている。同国政府は、東南アジア各国で行われている摘発とう汰による防疫措置は行わず、殺処分とワクチン接種を組み合わせることにより清浄化を推進するとしたが、予算不足などにより当初の目標を達成するには至っていない。

○ベトナム:AI感染者数が29名に
 ベトナムでは、2004年にAIが2回にわたり発生したとされている。同国は、2003年12月下旬から2004年3月30日までを第1波と位置付けており、16名の死者が発生するとともに、約4千4百万羽の家きんが死亡または殺処分された。同国政府は、3月30日にAI制圧宣言を行ったものの、その後再発が確認されるとともに散発的な再発が続くこととなった。4月中旬以降から2005年2月までのAI発生を第2波としており、期間中150万羽の家きんなどが死亡または殺処分された。また、2004年のAI感染による死者は20名、感染者は29名(死者含む)となった。

○マレーシア:シンガポールの鶏肉需給にも大きな影響
 マレーシアでは、2004年8月に半島北部のペラ州およびケランタン州でAIの発生が確認された。家きんの殺処分などの対策が採られ、2005年1月に清浄化宣言が行われた。同国におけるAI発生は、同国の鶏肉産業に影響を与えるとともに、需要の約5割を同国からの輸入に依存しているシンガポールにも大きな影響を及ぼすこととなった。当初、シンガポール政府は、マレーシアからの家きんなどの輸入を全面停止していたが、生産地をジョホール、マラッカなど半島南部の州に限定し、かつ、シンガポール食品獣医庁(AVA)により安全が確認された農場に限り輸入停止措置を解除した。


2004年に活発化したアセアン地域のEPA・WTO交渉

 2004年は経済連携協定(EPA)やWTOなどの貿易交渉がアセアン地域において活発化した。地域における平和と安定を背景に各国における経済が活性化しており、各国政府は一層の経済発展を求めて域内および域外の諸外国と貿易自由化を進める政策を推し進めた。中でも、域内各国とわが国との交渉が開始されるとともに、域内ではタイが積極的に対外交渉を推し進めた。

○日本との交渉が本格化
 2004年1月にマレーシアは日本とのEPA交渉を開始した。自動車などの取扱いが問題となり、年末までの合意には至らなかった(2005年12月締結)。フィリピンは2月に交渉を開始し、労働者の派遣問題などの調整を行い11月には大筋合意に達した。タイは日本と2月に交渉を開始したが、年末時点では合意に至っていない(2005年9月大筋合意)。また、アセアン全体としては、11月の日本との首脳会議において2005年の4月に交渉を開始することで合意した。

 また、8月には、ASEAN自由貿易地域(AFTA)実施完了期限は当初2015年までとされていたものの、完了期限を3年前倒しすることで加盟各国が同意した。なお域内関税率は既にほとんどの品目で下がっており、農業分野については域内で競合する品目が多いことなどから現時点では貿易量は低水準となっている。

○積極的なタイのEPAへの対応
 域内各国でFTAやEPA締結への動きが活発化する中、タイは相手国に関税撤廃を求める農産品輸出品目を多く抱えており、厳しい状況ではあるものの、日本をはじめ世界各国・地域との交渉を活発化させた。

 また、タイはニュージーランドとの間で2004年6月からEPA交渉を開始しており(2005年4月締結)、豪州との間でも7月にEPAを締結した。両国は乳製品をはじめとする畜産物の主要輸出国であるため、タイ国内の生産者への影響が懸念され、タイ側の自由化時期は乳製品で2025年、牛肉で2020年と長期の設定になっている。

 なお、タイはこれまで、バーレーンと2002年12月にFTAに調印し、インドとペルーとは2003年10月にFTAの枠組みについて合意、インドとは2004年9月から一部の品目においてアーリーハーベストを実施し、米国とも2004年6月に交渉を開始した。中国とは2002年11月に調印したアセアンと中国のFTAの枠組みの中で2003年10月からアーリーハーベストを実施し、果物や野菜の関税を撤廃している。そのほか2004年2月にはインドやミャンマーなどとの経済協力機構(BIMSTEC)内でのFTA枠組みに合意した。

○カンボジア、WTO加盟へ
 2003年9月にメキシコのカンクンで開催されたWTO閣僚会合でカンボジアはWTO加盟承認がなされたものの、その後続いていた同国内の政局の混乱により国会承認手続きが滞っていたが2004年8月の新内閣発足に伴い同月、国会によって加盟議定書が批准されたため、2004年10月に正式加盟国となった。

 同国が比較的優位を持つとされる主な輸出産業としては労働集約産業である衣類のほか、木材や天然ゴムなど1次産品であり、豊富な土地と水資源を背景として、農業、特に米と漁業産品に潜在的な輸出の可能性がある。

 畜産分野では近年、内外価格差による生体牛の近隣諸国への流出と、主にベトナムからの豚の流入(密輸)が問題となっているが、WTO新規加盟に関する国内畜産業の反応は鈍く、政府担当部局は現在、新規加盟に伴う調整作業に着手しようとしている。

 なお、ASEAN加盟各国のうちWTO未加盟国はベトナム、ラオスが挙げられるが、両国ともに2004年末時点では加盟申請中であった(現在も加盟申請中)。

 ベトナムは95年の加盟申請後8回の作業部会を重ねているものの、高水準の農業輸出補助金撤廃を迫られているほか、現加盟国から求められているWTOプラスに関する問題、国内法整備の遅延などにより交渉が難航している。同国も畜産関連のセンシティブ品目に関する個別要求としてはNZからの乳製品などが挙げられ、国内農業振興政策の目玉とする酪農・乳業との調整で困難な状況が予測されている。