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米国農務省、2010/11年度産トウモロコシの期末在庫を上方修正、相場は急落しストップ安

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 米国農務省(USDA)は9月30日、2010/11年度産トウモロコシの9月1日時点の在庫を対前年比33.9%減の11.3億ブッシェルと公表した。この数値は、市場関係者の予測を上回っていたため、トウモロコシのシカゴ先物価格は急落しストップ安で終了した。

2011年9月1日時点のトウモロコシ在庫は市場関係者平均予測値を17%上回る

 USDAが9月30日に公表した穀物在庫統計によると、2011年9月1日時点のトウモロコシ在庫は、昨年を33.9%下回る11億2825万ブッシェルとなった。
 トウモロコシの作物年度は9月〜8月となっており、9月1日時点の在庫が2010/11年度産トウモロコシの期末在庫となる。言い換えれば、この数値は2011/12年度産トウモロコシの期首在庫となることから、今後のトウモロコシ需給を占う上での重要な指標として、市場関係者は注目していたところである。
 今回発表された数値は前年を下回るものの、9月11日のUSDAの予測値及び市場関係者の予想を大幅に上回ったため、9月30日のトウモロコシの先物価格(シカゴ・マーカンタイル取引所)は急落し、2011年12月限、2012年3月限は値幅制限である40セント安となり、それぞれ1ブッシェル当たり592.50セント、605.75セントで終了した。
 なお、USDAは期末在庫を前回予測値(9月12日公表数値)から上方修正した理由を明らかにしていないが、業界関係者の意見などを総合すると、(1)エタノールの副産物であるDDGS(トウモロコシ蒸留かす)の飼料利用の増加及びトウモロコシ価格の高騰により飼料向けトウモロコシの需要が減退したこと、(2)トウモロコシからエタノールへの生産効率が向上したことにより、エタノール向けトウモロコシの消費が想定より少なかったこと、などの要因が考えられる。
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2011年10月12日公表されるUSDAの需給予測に注目

 USDA世界農業観測ボード(USDA/WAOB)は、10月12日に次回のトウモロコシ需給予測を公表する予定である。USDAへの補助金申請データなどを基にトウモロコシの収穫面積が修正される可能性が高く、業界関係者からは、トウモロコシ産地を襲った今夏の熱波の影響により、収穫面積が下方修正されるのではないかとの見方もある。  
 他方、2011/12年度産トウモロコシは現在収穫作業に入っており、収穫現場からは「収穫されたトウモロコシの単収は当初想定していたよりもわずかに良い」との声も聞こえている。
 今回の在庫量などを踏まえ、USDAが2011/12年度トウモロコシ需給をどのように予測するのか、注目されるところである。
【上田 泰史 平成23年10月3日発】
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