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韓国鶏肉需給の現状と今後の見通し(2011年10月現在)

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 韓国農村経済研究院(KREI)農業観測センターが10月25日に公表した2011年11月号の畜産観測(ブロイラー編)に基づき、韓国の鶏肉需給の現状と今後の見通しを報告する。

飼養羽数は増加傾向で推移

 2011年10月の素ひな生産羽数は4484万羽と、前年同月比1.9%増加したことから、11月のブロイラー飼養羽数は、同0.7%増の5823万羽と、2カ月連続で前年を上回ると見込まれる。
 12月以降については、素ひな生産羽数が、12月は同8.8%増、2012年1月は同7.1%増と増加傾向で推移することが見込まれることから、ブロイラー飼養羽数は、12月は同5.4%増の6568万羽、来年1月は同4.6%増の5854万頭と見込まれ、来年4月までの鶏肉供給量は前年を上回って推移するものとみられる。
 
 機構注:韓国のブロイラーは参鶏湯(サムゲタン)に代表される伝統的なスープ用途が多いため、小さい鶏を好む傾向がある。そのため、日本のものと比べ出荷体重は1キログラム以上軽い。

表1 素ひなの生産状況

 

生産羽数(万羽)

前月比(%)

 8月

9月 

10月 

 9月/8月

 10月/9月

  2011年(A)

4,366

4,296

4,484

98.4

104.4

  2010年(B)

4,468

4,161

4,399

93.1

105.7

 A/B(%)

97.7

103.2

101.9

資料:大韓養鶏協会

注:2011年8、9、10月は配合飼料生産量から推定している。

表2 ブロイラーの飼養羽数の見通し

 

飼養羽数(万羽)

前月比(%)

9月 

10月 

11月 

10月/9月 

11月/10月 

 2011年(A)

7,104

6,145

5,823

86.5

94.8

 2010年(B)

7,127

5,925

5,781

83.1

97.6

 A/B(%)

99.7

103.7

100.7

-

-

資料:韓国農村経済研究院(KREI)農業観測センター、統計庁 
  注:2010年および2011年9月は統計庁発表値、その他は農業観測センター推定値

食鳥処理羽数は前年並み

 11月の食鳥処理羽数は、前年並みの5700万羽と見込まれる。9〜11月は例年処理羽数が落ち込む時期であるものの、食鳥処理羽数が多かった前年度と同程度の水準となっている。

表3 食鳥処理羽数の推移(単位:百万羽)

 年/月

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

2009

44

45

50

55

60

69

83

65

57

49

48

55

2010(A)

48

46

54

59

66

74

86

64

55

54

57 

62

2011(B)

57

42

53

59

73

79

86

71

55

 56

57

 

 B/A(%)

118.8

91.3

98.1

100

110.6

106.8

100

110.9

100

103.7

100

 
資料:農林水産食品部

注1:2011年9月以降は農業観測センターの推定値

 2:5〜8月は需要期

生体価格は素ひな価格の上昇により前年を上回る

 10月(24日まで)の生体価格は、前年比8.7%高の1,763ウォン(126円:100ウォン=7.2円(10月末TTSレート))となった。KREIの10月の予測では、9月以降の生体価格は、食鳥処理羽数の増加や在庫量の積み増しにより、前年を下回るものと見込まれていた。今回の予測では、飼料価格の上昇に伴って素ひなの価格が上昇したため、生体価格は上昇に転じた。
 しかし、豚枝肉価格の下落により鶏肉の代替需要が減少していることから、11月の生体価格は前年を下回る1500〜1,700ウォン(108〜122円)と見込まれる。
1

鶏肉輸入量は在庫増や国内価格の下落により鈍化の見込み

 2011年9月の鶏肉全体(HSコード:0207)の輸入量は、前年同月比20.2%減の6072トンとなり、2カ月連続で前年を下回って推移した。
 このうち、大部分を占める冷凍鶏肉(同:020714、分割されたもの)の輸入量については、主要3カ国の米国(同16.3%減 3,766トン)、ブラジル(同26.8%減、1,931トン)およびデンマーク(58.0%減、121トン)のいずれも前年を下回ったことから、5,829トン(同21.7%減)と、大きく落ち込んだ。
 5月に無税輸入枠の設定後、輸入量は大幅に増加したことから、1〜9月の累計で9万4千トンと、前年より34%増加した。需要者の多くは無税輸入枠を利用して年内需要のうち相当分を既に手当てしたとみられることから、国内在庫量は前年比68.8%増と高い水準にある。このような状況の中、国内価格の下落、ウォン安なども相まって、11月は前年比24.8%減と、引き続き下落基調で推移すると見込まれる。
2

表4 冷凍鶏肉各部位の国別輸入量

 

モモ
(HS:0207141010)

ムネ
(HS:0207141020)

手羽
(HS:0207141030)

9月 

1〜9月 

9月 

1〜9月 

9月 

1〜9月 

全体

輸入量

5,042

80,051

574

4,584

59

5,688

前年同期比

▲ 20.2

43.3

30.2

5.7

▲ 86.8

18.7

 1位

国名

米国

米国

ブラジル

ブラジル

ブラジル

ブラジル

輸入量

3,680

68,983

510

4,435

59

3,397

前年同期比

▲ 15.5

85.5

16.4

10.7

▲ 74.3

0.5

 2位

国名

ブラジル

ブラジル

米国

米国

デンマーク

デンマーク

輸入量

1,362

10,621

63

145

0

1,987

前年同期比

▲ 29.1

▲ 42.1

2,000.0

339.4

-

45.6

 3位 

国名

デンマーク

デンマーク

チリ

チリ

米国

米国

輸入量

0

216

0

0

0

96

前年同期比

-

▲ 22.3

-

-

-

-

資料:Global Trade Atlas
【藤井 麻衣子 平成23年11月8日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9532