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韓国豚肉需給の現状と今後の見通し(2011年12月現在)

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 韓国農村経済研究院(KREI)農業観測センターが12月25日に公表した2012年1月号の畜産観測(豚編)に基づき、韓国の豚肉需給の現状と今後の見通しを報告する。

2012年6月の飼養頭数は860〜870万頭の見通し

 2011年12月の豚の飼養頭数は、当初の見通しを上回る810万頭(同18%減)にまで回復した。これは、政府による繁殖用母豚の無税枠の設定に加えて、豚肉価格が堅調に推移していることが大きい。
 2012年以降は、3月は830〜840万頭(12月比2.5〜3.7%増)、6月は860〜870万頭(3月比3.6%増)と見込まれ、政府による繁殖用母豚5千頭の無税枠(2012年1〜6月)の延長、および堅調な豚肉価格により生産者の生産意欲が高まっていることなどを考慮すると、飼養頭数は今後も増加傾向で推移すると見込まれる。
表1 豚養育頭数の推移                                  (単位:千頭)

 

9月 

12月 

3月 

6月 

 2011〜12年(A)

7,783

8,100

8,300-8,400

8,600-8,700

 2010〜11年(B)

9,901

9,881

7,036

7,333

A/B (%)

78.6%

82%

118%-119%

117%-119%

資料:韓国農村経済研究院(KREI)農業観測センター、統計庁
  注:2011年12
月以降は農業観測センターの予測値

と畜頭数は回復基調 

 2011年11月のと畜頭数は、前年同月比22.4%減の107万頭と、12カ月連続で前年の水準を下回ったものの、前月比では3.9%増と回復基調となった。飼養頭数の増加に伴い、2012年1〜6月の間には、と畜頭数は前年同期比14.3%増の603万頭と、口蹄疫の影響によりと畜頭数が減少した前年を上回る水準となることが見込まれる。
 なお、1〜6月の豚肉生産量は、と畜頭数の増加により前年同期比16.2%増と見込まれる。
 表2 豚と畜頭数                                     (単位:万頭)

年\月 

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

2010

120

114

133

123

117

117

115

118

113

129

137

127

2011

96

79

95

91

87

78

72

89

88

103

107

104

2012

99

93

106

105

102

98

 

 

 

 

 

 

 平年

117

108

117

116

111

108

109

112

114

124

128

124

2011/10(%)

80

69

71

74

74

67

63

75

78

80

78

84

資料:国立獣医学科検疫院、農業観測センター
 注1:2011年12月以降(斜体)は農業観測センターによる予測値
   2:平年値は2006〜2010年の5
年間の最低、最高値を除いた平均値

1月の枝肉価格は1キログラム当たり5,800〜6,000ウォンの見通し

 12月(23日まで)の枝肉価格は、11月中旬以降の出荷頭数が減少したことから、前月比16.6%高の1キログラム当たり6,553ウォン(455円:100ウォン=6.95円(12月末TTSレート))となり、前月の予測値(5,400〜5,600ウォン)から1,000ウォン以上上方修正された。
 2012年の価格については、1〜2月は出荷頭数の増加や季節的な消費需要低下により、1月は同5,800〜6,000ウォン(前月比8.4〜11.5%安)、2月は同5,200〜5,400ウォン(同10〜10.3%安)と見込まれる。ただ、政府による卸売市場豚出荷促進などの物価安定対策措置が実行される場合は、見通しを下回る可能性もある。3〜4月は、季節的な消費需要の高まりにより、2月よりも200ウォン高い5,400〜5,600ウォンと見込まれる。
1

2012年上半期の輸入量は前年を下回る見込み

 輸入量は2011年8月をピークに減少傾向にあるものの、国内枝肉価格の上昇や主要国(米国、EU)の豚肉枝肉価格の下落により、11月の豚肉全体(HSコード:0203)の輸入量は、前月比4.7%増の3万1,585トンとなった。輸入の国別シェアは、米国(6,549トン)、カナダ(5,609トン)、ドイツ(4,506トン)、チリ(2,449トン)で全体の約6割を占めている。2011年1〜11月累計では45万9800トンと、前年を既に60%(17万トン)上回っている。
 各部位(冷蔵・冷凍バラ肉、冷凍加工原料用)の2011年1〜11月の輸入量は、前年同期と比べ、いずれも前年を大幅に上回っており、特に冷蔵バラ肉は前年比2倍となっている。

 政府は12月20日、豚肉価格安定を目的とし、豚バラ肉5万トン、加工用豚肉2万トンに対する関税割当の延長(2012年1〜3月)を発表した。9月下旬から11月初旬まで豚肉価格は安定傾向で推移したが、1〜2月は供給量が減少し、11〜12月の豚肉価格は再び上昇した。政府は、豚肉価格の高騰は、国産豚肉の品質低下および生産者の生産性向上に向けた取り組みの欠如など、養豚産業の健全な発展の阻害を招くと懸念し、今回の措置に踏み切った。
 なお、2012年上半期の輸入量は、関税割当の延長措置があるものの、国内生産量の増加が見込まれることから、前年同期比30.0%減と、例年並み水準となることが予測される。
2
豚肉各部位別の国別輸入(単位:トン、%)

 

冷蔵バラ肉 

冷凍バラ肉 

冷凍その他 

 11月

1〜11月 

11月 

1〜11月 

11月 

1〜11月 

全体 

 輸入量

995

14,990

11,744

120,410

18,102

315,306

 前年同期比

62.6

120.4

59.9

52.1

19.6

83.8

1位 

 国名

カナダ 

カナダ 

 ドイツ

ドイツ 

米国 

米国

 輸入量

435

6,489

3,934

22,294

5,640

131,850

 前年同期比

53.7

84.9

313.7

668.2

36.5

115.6

 2位

 国名

 米国

米国 

オランダ 

オーストリア 

カナダ 

カナダ 

 輸入量

368

5,010

1,491

16,799

4,977

65,381

 前年同期比

78.6

99.7

42.0

43.4

25.7

47.5

 3位

 国名

 チリ

チリ 

オーストリア 

オランダ 

スペイン 

スペイン 

 輸入量

153

1,513

1,397

15,453

1,846

24,704

 前年同期比

54.5

140.5

20.6

42.0

36.9

82.5

資料:Global Trade Atlas
【藤井 麻衣子 平成24年1月16日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9532