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ラ・ニーニャによる干ばつの影響の懸念(アルゼンチン・ブラジル)

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○アルゼンチン

 アルゼンチンでは、2011年12月よりラ・二―ニャの発生に伴う降雨不足が原因で、農畜産物の生産地帯であるパンパ地域を中心に土壌水分量が不足している。土壌水分量は、パンパ地域のほぼ全域で「乾燥あるいは不足」という状態となった。特に、トウモロコシ、大豆などの主要農作物の生産地帯であるサンタフェ州南部、ブエノスアイレス州東北部、コルドバ州南東部では12月の降雨量が20ミリと過去4年間で最も少ない降雨量となった。
 1月に入り、サンタフェ州南部などの主要農作物生産地帯では40ミリを超える降雨があったものの、土壌水分の回復にはさらに100〜150ミリが必要であるとしている。さらに、チャコ州など北部州では土壌水分量不足の地域が拡大している(図参照)。
 なお、現地天気予報によれば、同月中旬にサンタフェ州南部、ブエノスアイレス州東北部では霧雨、コルドバ州南東部では暴風後に霧雨となっている。
図1

○ブラジル

 夏季(12〜2月)、アマゾン地域の湿度を多く含む帯状の雲は、北・北東部のアマゾン地域から、中西部および南東部、南大西洋までを覆い、南米大陸の東部から南大西洋にかけて大雨をもたらす(南大西洋収束帯(ZCAS))。特に、雨期と乾期が明確である北東部は作物の生育に必要な水分をもたらす恵みの雨だが、年によっては、豪雨による水害をもたらす。現在、北部・北東部の一部、中西部および南東部はZCASによる大雨による大雨が懸念されている。
 一方、ZCASから外れる南部は、ラ・ニーニャの影響による乾燥が懸念されている。穀物の主要生産地である南部では、11月中旬から1月初旬まで、平年を下回る雨量で作物の生育悪化などの影響が出ているようだ。特に、専門家の一部には、リオグランデドスル州では、トウモロコシの生産量が前年度比37%減とする予測している。
図2
 1月16日の現地報道によれば、南部3州で377の市町村が緊急事態宣言を発令した。ブラジル政府は、この南部3州にそれぞれ1000万レアル(約4億3500万円、1レアル=43.5円)の支援を検討している。

 1月19日時点でも、サンタカタリーナ州とパラナ州などの地域で雨が降っている一方、リオグランデドスル州での雨量はわずかである。
図3
【石井 清栄、岡 千晴 平成24年1月20日発】
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