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韓国の粗飼料(春収穫分)の生産量が天候不順のため平年より1割以上減少見込み

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 農村振興庁は、冬季飼料作物の需給ひっ迫と価格の高騰を受け、生産実態調査を行った結果を2012年2月3日付けで発表した。

 韓国では例年、秋収穫の粗飼料の収穫時期および春収穫の粗飼料のは種時期が、10月および11月となる。2011年の10月と11月の降水量は前年に比べ3倍の151mm(2010年53mm)となったほか、11月の平均気温が前年に比べ4.5度上昇の11.3度(2010年6.8度)と、天候不順であった。

 その結果、南部地域(全羅南道、慶尚南道など)では、高温により来年春収穫のエンバク(オーツ麦)に徒長現象が発生し、越冬中の被害が懸念されているほか、慶尚北道では例年を超える降雨により収穫の断念や、春収穫の粗飼料のは種ができないなどの影響が出た。また、は種できた作物についても湿害の被害を受けたところが多かった。
 地域別では平年に比べ、嶺南地域(慶尚北道、慶尚南道)で20%、湖南地域(全羅北道、全羅南道)で5〜10%の生産量減少、韓国全体の飼料作物生産量(2012年春収穫)は10%以上減少すると予想されている。

 農業振興庁は湿害を受けた畑では排水に努め春先に追肥を与えることや、未作付もしくは生育状態が悪い畑に対し、イタリアンライグラスやエンバクの再は種を推奨している。
 早生種のイタリアンライグラスであれば南部地方2月中旬、中部地方2月下旬、中北部地方は3月上旬には種すれば、5月中・下旬頃に収穫が可能となる。農村振興庁畜産科学院は希望者に対し、再は種用の種子を提供するとしている。

 また、冬場の天候不順の影響による飼料作物の不作などに起因した飼料価格の上昇を受け、韓国政府は飼料価格の上昇に対し、各種飼料原料の関税割当数量を2012年12月まで設定するなど、価格の抑制対策を行っている。

【平石康久 平成24年2月14日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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