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バターの民間在庫補助の単価、前年を下回る(EU)

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  欧州委員会は2月24日付け官報において、2012年3月1日から開始されるバターの民間在庫補助(PSA)に係る詳細を発表した。これによると、補助単価は前年を下回って設定される以外は前年同様となった。

固定経費、保管経費ともに前年を下回る

  民間在庫補助の単価は、固定経費がトン当たり14.88ユーロ(1,607円:1ユーロ=108円、前年比20%減)、保管経費がトン、1日当たり0.26ユーロ(28円、同25%減)となり、前年を下回って設定された。
  そのほかの条件は前年同様。
・保管開始期間:2012年3月1日から8月15日まで
・放出開始期間:2012年8月16日から
・補助対象期間:90日〜210日

  補助単価を引き下げた理由としては、2011年のバター市場の好調により、年間を通じて域内価格は高値で推移しており、主要加盟国の域内価格を見ても介入価格(246.39ユーロ/100kg、26,610円)を40%以上も上回って推移したことが考えられる。また、現在、下落傾向であるもの、2012年も引き続き高値で推移すると予測されることも考えられる。
バター域内の価格

CAP2020ではPSAを見直し

 現在、バターの民間在庫補助(PSA)は、夏季はバターの生産が域内需要を上回り、冬季はその逆になることから、年間を通じてバターを安定的に流通することを目的として実施している。毎年3〜8月に市場から隔離し、需要期に放出するために在庫の保管を行う者に対し、補助金が交付される仕組みとなっている。
 欧州委員会はCAP2020においてバターのPSAを、市場の透明性の確保の観点から、見直している。平均域内価格や参考価格を考慮して実施する、または、市場が著しく混乱し、PSAが必要とされた場合に実施するといったオプショナル政策とする提案をしている。また、これまで申請順としていたが、これを前もって数量を固定する、または入札で対応することとし、その制約を加盟国または地域単位とすることも提案している。
 CAP2020の議論については始まったばかりで、1年かけて議論され、2014年1月に施行予定となっていることから、PSAの見直しを含め今後の議論が注視される。

当地団体は現行維持を求める

 この案について、当地乳製品貿易団体である欧州乳製品輸出入・販売業者連合(EUCOLAITE)は、
・バターは季節性の製品であること
・安定した価格維持の必要
・保管経費のコスト高・現行同様、事前に運用について周知する必要があること
・現行の補助はバター市場において非常に有益であること
を理由に現行のスキームの維持を求めており、現在、会員に意見を求めている。
【小林 奈穂美 平成24年2月24日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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