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韓国豚肉需給の現状と今後の見通し(2012年2月現在)

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 韓国農村経済研究院(KREI)農業観測センターが2月27日に公表した2012年3月号の畜産観測(豚編)に基づき、韓国の豚肉需給の現状と今後の見通しを報告する。

2012年下半期には900万頭超の見込み

 2012年3月の豚の飼養頭数は、繁殖用母豚の無税枠の設定により母豚導入が進んだことから、2011年12月比約2.8%増の840万〜850万頭と見込まれる。6月は前回の見通しから30万頭上方修正の890〜900万頭(3月比5.9%増)と見込まれる。これらは、忠清南道や全羅北道など、口蹄疫(FMD)の被害が比較的小規模だった地域の頭数増加が堅調なのも一因とされる。9月は960〜970万頭(6月比7.9%増)と、6月から70万頭増加し、過去5年平均(2005〜2009年)の飼養頭数の920万頭を超える水準となると見込まれる。
表1 豚養育頭数の推移  (単位:千頭)

 

12月 

3月 

6月 

9月 

 2011〜2012年

8,171

8,400-8,500

8,900-9,000

9,600-9,700

 2010〜2011年

9,881

7,036

7,330

7,783

 前年比(%)

17.3

19.4-20.8

21.4-22.8

23.3-24.6

資料:韓国農村経済研究院(KREI)農業観測センター、統計庁
  注:2012年は農業観測センターの予測値

3月以降のと畜頭数はFMD発生前の水準に近づく 

 2012年1月のと畜頭数は、前月比1.9%減の95万頭(前年同月比2.4%減)となった。3〜8月のと畜頭数は、飼養頭数の回復や政府による卸売市場豚出荷促進により前年同期比26%増の643万頭と見込まれる。これは、FMD発生以前の2010年同期水準の9割に相当する。
 なお、3〜8月の生産量も、出荷頭数の増加により前年同期比27%増と、FMD発生前の9割まで回復すると見込まれる。
表2 豚と畜頭数 (単位:万頭)

年\月

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

2010

120

114

133

123

117

117

115

118

113

129

137

127

2011

97

80

95

91

87

78

72

89

88

103

107

97

2012

95

102

110

107

107

99

105

116

 

 

 

 

平年

117

108

117

116

111

108

109

112

114

124

128

124

2011/10(%)

80

69

71

74

74

67

63

75

78

80

78

84

資料:国立獣医学科検疫院、農業観測センター
  注1:2012年2月以降(斜体)は農業観測センターによる予測値
  2:平年値は2007〜2011年の5年間の最低、最高値を除いた平均値

3月の枝肉価格は1キログラム当たり4,400〜4,600ウォンの見通し

 2月(24日まで)の枝肉価格は、豚肉需要の不振や出荷頭数の増加により前月比9.8%安の1キログラム当たり4,201ウォン(311円:100ウォン= 7.41円(2月末TTSレート)となり、前回の予測から1,000ウォン以上下方修正された。
 3月は、学校給食再開などの季節的な消費需要の高まりにより、同4,400〜4,600ウォン(前月比4.7〜9.5%高)、4月は気温上昇に伴う外出需要の増加により3月をわずかに上回る同4,500〜4,700ウォン(同2.2〜2.3%高)と見込まれる。
 需要期を迎える5〜6月の枝肉価格は、4月を200ウォン以上上回る4,700〜5,100ウォン(同4.4〜8.5%高)と見込まれるが、政府による物価安定対策により見通しを下回る可能性もある。
1

豚バラ肉に対する無税枠を延長

 2011年の豚肉輸入量は、無税枠の設定により前年を68.4%上回る48万7千トンとなった。国別に見ると、シェア3割を占める米国は前年の2倍となる15万トン、カナダは8万トン(前年比46.6%増)、チリは4万トン(同6.8%減)と、これら3カ国で全体の6割を占めた。その他、航空輸送費の補助などによる豚肉の輸入促進策などによりスペイン(3万トン、同68.7%増)やデンマーク(2.6万トン、同172.1%増)などの欧州からの輸入も前年から大幅に増加した。
 部位別では、冷蔵バラ肉(HSコード: 0203191000)の増加が最も大きく、前年比111.8%増の1万6千トンとなった。
 政府は3月20日、豚バラ肉7万トンに対する関税割当措置の延長(4〜6月)を発表した。1〜3月までに同部位5万トンの関税割当が措置されていたが、今回はその更新となる。
 今後の期間延長の可能性については、需給や価格動向次第とみられ、韓国養豚協会は今回の措置に対し、国内豚肉価格が下落する中での輸入量増加は、養豚農家の収益性の低下をさらに招くとし、出荷自粛などの対抗措置を行うことも辞さないと明らかにした。
 なお、3〜8月の輸入量は関税割当措置にもかかわらず、生産量の回復や輸入豚肉在庫の増加により、前年同期より37〜41%程度減少すると見込まれている。
1
表3 豚肉各部位別の国別輸入量

 

冷蔵バラ肉
HS:0203191000

冷凍バラ肉
HS:0203291000

冷凍その他
HS:0203299000

12

通年

12

通年

12

通年

全体

輸入量

930

15,921

7,710

128,120

18,121

333,427

前年同期比(%)

30.1

111.8

25.3

50.2

-7.6

74.4

1

国名

カナダ

カナダ

ドイツ

ドイツ

米国

米国

輸入量

451

6,940

2,082

24,377

6,085

131,850

前年同期比(%)

39.2

81.0

149.9

552.7

-10.7

94.0

2

国名

米国

米国

オーストリア

オーストリア

カナダ

カナダ

輸入量

247

5,259

754

17,553

4,258

65,381

前年同期比(%)

▲ 4.3

90.1

45.8

43.5

▲ 6.1

33.8

3

国名

チリ

チリ

チリ

オランダ

スペイン

スペイン

輸入量

109

1,622

703

16,134

1,616

24,704

前年同期比(%)

▲ 3.5

118.6

▲ 30.3

▲ 37.0

2.3

63.5

資料:GTI社「Global Trade Atlas」
【藤井 麻衣子 平成24年3月27日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9532