畜産 畜産分野の各種業務の情報、情報誌「畜産の情報」の記事、統計資料など

ホーム > 畜産 > 海外情報 > 2012年 > ラボバンク、乳業メーカーランキング(2011年)を公表

ラボバンク、乳業メーカーランキング(2011年)を公表

印刷ページ
 オランダに本拠地を置く金融機関のラボバンクは7月16日、2011年の世界主要乳業メーカー売上高ランキングを発表した。これによると、首位はネスレ社(スイス)で、2位のダノン社(フランス)とともに前年と同じ順位を堅持した。一方、前年3位であったフォンテラ社(フランス)は4位に後退し、ラクタリス社(フランス)が3位となった。また、注目すべきは中国の2企業で、伊利社が前年の19位から15位へ、蒙牛社が18位から16位へとともにランキングを上げた。これは中国国内における乳製品市場の拡大によるものである。
 
 売上高(米ドルベース)を見ると、ほとんどの企業で前年の水準を上回っている。これは、2011年に乳製品の国際価格が堅調に推移したことや、米ドルが安値で推移したことによるものと考えられる。
 ただし、最近の国際価格は、EU、米国、豪州およびニュージーランドなど主要生産国における生乳増産による需給の緩和やEUの財政問題などの景況不安により、前年から一転して低迷しており、2009年来の低水準となっている。7月17日に行われたグローバルデーリートレード(フォンテラが2008年に開始した乳製品の電子オークション。脱脂粉乳や全粉乳などの国際価格の指標の一つとなっている。)では、全粉乳が前年比25.6%安のトン当たり2584米ドル、脱脂粉乳が同21.8%安の2727米ドルと下落している。
 
 このように乳製品市場を巡る環境が大きく変化する中、ラボバンクは、今後も新興国の伸び代が大きいとしている。実際に、今回ランク入りした20の企業のうち、16の企業がアジアやラテンアメリカにある製造施設などへの投資を行っている。一例としては、フリースランドカンピーナ社は今年3月、アジア市場への足がかりとしてフィリピンの乳業大手のアラスカミルク社を買収している。今後もこうした乳製品企業の合併や買収の動向を注視すべきであろう。
【前田 昌宏 平成24年7月20日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9806