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韓国豚肉需給の現状と今後の見通し(2012年7月現在)

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 韓国農村経済研究院(KREI)農業観測センターが7月25日に公表した2012年8月号の畜産観測(豚編)に基づき、韓国の豚肉需給の現状と今後の見通しを報告する。

2012年9月の飼養頭数は970〜980万頭

 6月は母豚数が97万頭、飼養頭数は943万頭(3月比2.0%増)となった。口蹄疫(FMD)発生後、経営再開した生産者が母豚の導入を増やして経営の規模拡大を図っていることを主要因とし、6月以降も引き続き母豚数の増加が持続されるため、9月は970〜980万頭(6月比2.7〜3.8%増)、12月は980〜990万頭と、2010年のFMD発生以前の水準まで回復するとみられる。
 一方、大韓養豚協会では、今後、飼養頭数の増加による豚肉生産量の増加から、枝肉価格が下落することを懸念しており、母豚数を90万頭に削減するよう会員生産者に強く勧めている。
図1 農家戸数と母豚頭数の推移
図2 豚の飼養頭数見通し

8月以降のと畜頭数はFMD発生前より増加見込み

 2012年6月のと畜頭数は、気温上昇に伴う飼料摂取量の低下から出荷が遅れていることを一因として前月比8.8%減、前年同月比24.3%増の105万頭となった。
 2012年8月〜翌年1月のと畜頭数は、FMDが終息した後に導入した母豚から生まれた豚が出荷時期を迎えていることや大韓養豚協会が推進している早期出荷奨励(2012年6月〜12月の間、出荷体重を平均の115kgから110kgに引き下げ、枝肉重量の削減により生産量を調整し枝肉価格の安定を図ることを目的)により、前年同期比31.4%増の761万頭とFMD発生以前の2010年同期と比べ5.4%増になると見込まれる。
表1 豚と畜頭数

8月の枝肉価格は1キログラム当たり4,400〜4,600ウォンの見通し

 7月の枝肉価格は、気温上昇による飼料摂取量の低下による生育不良に加え、需要回復が遅れていることから前月比3.6%安の1キログラム当たり4,583ウォン(7.10円:100ウォン=325円)となった。
 8月の枝肉価格は、夏季休暇やロンドンオリンピック需要も一時的で消費不振により需要が伸び悩んでおり、豚肉の供給過剰も相まって、前月見込みより同200ウォン安の同4,400〜4,600ウォンと見通されている。
 9月の枝肉価格は、需要減退期を迎えることから、同3,900〜4,200ウォンとみられている。
 10月の枝肉価格は、国内産豚肉の供給量増加に加え、需要減少期のため同3,300〜3,600ウォンとみられている。
図3 豚枝肉価格の推移
図4 豚肉の供給量実績見込み

2012年6月の輸入量は前年同月比36.4%減

 2012年の6月の豚肉輸入量(HSコード:0203)は、前年同月比36.7%減の3万162トンとなった。
 また、今後、国内の供給量の増加による豚肉在庫の拡大と輸入豚肉の販売不振により2012年8月〜翌年1月の輸入量は前年同期より45.0%減少し、8万トン前後になると予測されている。現地の輸入業者によると各業者は少なくとも4〜5ヶ月分の在庫を抱えているため、輸入量は減少が見込まれる。
 政府は、豚肉価格の安定化を図るため、2012年上半期(1−6月)に10万トンの輸入無税枠の措置を取り、さらに下半期(7−12月)にも5万トンの輸入無税枠の措置を計画していたが、供給量過剰を懸念し、見送りとなった。
 なお、輸入無税枠の豚肉は効果的に市場を緩和するため輸入後45日以内に販売しなければならない。しかし、政府は価格が安定しないため、この規定の順守状況について調査を始めたところである。
図5 国内豚肉の在庫
表2 国別輸入量
表3 輸入豚肉の無税枠の消化率
【宗政 修平 平成24年8月16日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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