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メキシコの畜産を巡る最近の情勢〜飼料価格高騰も生産対応により生産量は増加

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2013年第1四半期の豚肉生産量は増加

 連邦政府農牧農村開発漁業食糧省(SAGARPA)によると、2013年1〜3月までの豚肉生産量は、前年同月比3.3パーセント増の29万8604トンとなった。また、輸入量は、同5.1パーセント減の12万7720トンとなる一方、増産を背景に輸出量は、同0.8パーセント増の1万7144トンとなった。豚肉生産量を地域別にみると、特に主要生産地である南部のユカタン州(同15.6%増)およびベラクルス州(同14.0%増)での伸びが目立っている(表1)。増加の要因として、飼料価格の上昇に伴い生産者が肥育期間を短縮し、早期に出荷を行っているものと考えられる。メキシコでは、豚肉生産費用の約64パーセントが飼料費となっている。また、肥育豚に年間480万トンの飼料穀物が消費されている。一方、北部の主要生産州では、飼料コストの削減を図るため、一時的にホワイトコーンや小麦の割合を多くするなどの対応を行っている。

中間所得者の増加により豚肉消費量は増加

 2013年の豚肉消費量は、前年比1.9パーセント増の187万トンと見込まれている。メキシコでは、中間所得層の消費者が牛肉や鶏肉から豚肉消費へとシフトしている。これは、牛肉が豚肉よりも価格高であることに加え、鶏肉は鳥インフルエンザの影響により消費者離れが影響しているものとみられている。これを受け、3月の豚肉卸売り価格は同3.68パーセント高の1キログラム当たり35.25ペソ(303円:1メキシコペソ=8.62円、3月29日付けTTSレートを使用)となった(表2)。

国内の豚肉生産者は輸入増を懸念

 2012年の豚肉輸入量は前年比25パーセント増の53万1600トンとなり、2013年も引き続き増加傾向であることを受け、ユカタン州の豚肉生産者組合(Pork Association of Yucatan)は、輸入増加により国内の豚肉生産構造が悪影響を受けると指摘している。メキシコはNAFTA加盟以降、関税を撤廃したことで米国からの豚肉輸入量が増加し、生産性の低い小規模農家などを中心に廃業が増加している。
表1
表2
【山神 尭基 平成25年5月10日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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