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USDA、2013年の生乳生産を下方修正、EUとのTTIPの影響を報告

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 米国農務省(USDA)は11月19日、2013年の10月の生乳生産(Milk Production)を発表した。
 これによると、主要生産23州の10月の生乳生産量は、前年対比1.2パーセント増の154億ポンド(699万トン)となった。また、乳牛の飼養頭数は、前年同月比3万6千頭増の850万頭となった。
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 また、USDAが11月8日に発表した世界農業需給予測(World Agricultural Supply and Demand Estimates)によると、2013年の米国の生乳生産は、干ばつによる飼料価格高騰により生産コストが上昇しており、生乳生産は増加したものの前年対比で約0.7パーセント増の2017億ポンド(約9117万トン)と見込んでいる。2014年は、穀物生産が順調であることから飼料価格は下落しており、同約1.6パーセント増の2049億ポンド(約9249万トン)との予測である。
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 乳製品の価格を見ると、一部の乳製品で価格の下落があったことから2013年の11月の予測は、前回9月の予測と比べて低下している。また、2014年は、生産コストが減少するとの見込みから、乳製品価格も下落が予測されており、チーズでは1ポンド(約453.6グラム)当たり1.67〜1.76米ドル(170円〜180円;1ドル=102円)、バターは同1.465〜1.585米ドル(149円〜161円)と見込んでいる。
 乳製品の消費動向は、感謝祭(11月の第4木曜日)に向けて、バターおよびクリームの需要が増加したが、11月14日に発表された乳製品小売状況(「National Dairy Retail Report」)によると、ヨーグルトの需要が再び増加している。ヨーグルトは、プロバイオティクス機能をもつとして健康増進や手軽で健康的な朝食としての需要が伸びており、特に、大流行した「ギリシャヨーグルト」の牽引で消費量が伸びている。ギリシャヨーグルトは、広告小売価格で4〜6オンス(113〜170グラム)のものが約1.02米ドル(104円)、その他のヨーグルト製品は、4〜6オンスのもので0.52米ドル(53円)で販売されており、約2倍の価格差があるものの売上げは好調と伝えられている。
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 米国は、EUとの間で「環大西洋貿易投資パートナーシップ(TTIP)」の交渉が進められている。USDAは、TTIPが締結された場合の米国における酪農への影響について、9月8日に「フランスの乳製品市場状況 - EUの政策およびTTIPを踏まえて-」を発表し、主要酪農国であるフランスを代表国としてその影響を報告している。
 これによると、フランスがEUで現在定められている生乳クオータ制度撤廃に向け、生乳生産拡大を意図していること、また、増産に対応した粉乳工場への投資が進んでいることが示され、国際市場における米国と競合が指摘されている。
 また、米国国内の市場では、EUが交渉で強く適用を主張しているEU規則の地理的表示(GIs:Geographical indication)の登録件数が、最近、急増しており、米国のチーズ市場で、高品質チーズとしての差別化されたEU産乳製品の拡大の可能性が示されている。
【矢野 麻未子 平成25年11月25日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 国際グループ (担当:調査情報部)
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