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NZ最大手乳業フォンテラ社、今年度2度目の生産者乳価引き下げを発表

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 ニュージーランド(NZ)最大手の酪農協系乳業メーカーであるフォンテラ社は9月24日、2014/15年度(6月〜翌5月)の生産者乳価の支払見込みについて、乳固形分1キログラム当たり6.0NZドル(546円:1NZドル=91円)から5.3NZドル(482円)に引き下げることを発表した(図)。また、2014/15年度の株式配当見込みについて、1株当たり20〜25NZセント(18〜23円)から25〜35セント(23〜32円)に引き上げつつ、見込み幅を広げたことも併せて発表している。
 同社は、生産者乳価引き下げについて、予測し難い乳製品国際価格の変動を反映したものとしており、最近の乳製品国際価格の一段の下落を要因としている。その背景については、世界的に生乳生産量が増加していることや、ロシアによる(EU、米国、豪州などからの)乳製品輸入禁止措置の影響、中国における乳製品在庫の動向などを挙げている。
 一方、株式配当見込みの変更について、見込み額の引き上げは、生産者乳価の引き下げに伴い、消費者向けやフードサービス産業向けの製品を中心に製造コストが減少し、結果的にマージンの拡大が見込まれるためとしている。また、見込み幅の拡大は、乳製品国際価格の変動が激しい中、新年度が始まって間もない現時点で、正確な見込みを出すのは困難であり、実際に妥当性のある見込みとするためとしている。
 同社は現在の市場環境ではさらなる下落リスクも懸念されるとしつつ、現時点では最良の判断であることを強調している。さらに、短期的には下落局面にあるものの、中期的には、乳製品の国際価格が再び上昇する可能性についても言及している。
図

豪州最大手乳業マレーゴールバン社は、生産者乳価の据え置きを発表

 一方、豪州最大手の酪農協系乳業メーカーであるマレーゴールバン(MG)社は同じく9月24日、2014/15年度(7月〜翌6月)の生産者乳価の支払見込みについて、従来の発表どおり乳固形分1キログラム当たり6.0豪ドル(594円:1豪ドル=99円)に据え置くことを発表した。乳業界では、フォンテラ社の生産者乳価引き下げについては、以前からその可能性が取り沙汰されており、同社の正式な発表と同日に改めて生産者乳価の維持を発表することで、傘下の酪農家の安心感を醸成する思惑があったとみられる。
 しかしながら、MG社もフォンテラ社と同様に、ロシアによる一部の国からの乳製品輸入禁止措置や、中国からの需要の減少に起因する乳製品国際価格の下落については、懸念を示している。
【根本 悠 平成26年9月24日発】
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