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2014/15年度の夏作物生産見通し、12月以降の降雨を受けて上方修正(豪州)

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ソルガム生産量は前年度比61.7%増

 豪州農業資源経済科学局(ABARES)は2月10日、2014/15年度(7月〜翌6月)の冬作物および夏作物の生産見通しを発表した。
 このうち、主要夏作物であるソルガム生産量は179万トン(前年度比61.7%増)と、昨年12月時点の見通しから上方修正され、過去10年平均には届かないものの、干ばつの影響を受けて大きく落ち込んだ前年度から回復することが見込まれている(表1)。ソルガムの主産地であるクイーンズランド(QLD)州南部やニューサウスウェールズ(NSW)州北部では、2012年後半から長期に渡り干ばつが続いていたが、昨年12月以降、降雨に恵まれている。このため、11月以前に行われたは種は影響を受けたものの、遅蒔きが可能な地域では順調に進んだとみられ、作付面積が前回見通しから上方修正された。また、降雨により土壌水分が蓄えられたことで、単収の大幅な向上も見込まれている。
 一方、夏作物全体で見ると、作付面積、生産量ともに、前年度をさらに下回る見通しとなっている。これは、NSW州南部のかんがい地域で主に生産されているコメや綿実が、かんがい用水の供給量減少により減産見通しとなっていることを受けたものである。
 なお、豪州気象局(BOM)はソルガム主産地の2月から4月までの気象状況について、例年よりも乾燥する可能性が高いとしているものの、業界関係者の中にはこの影響はほとんどないと見る向きもある。
表1

小麦、大麦はいずれも前年度の生産量を下回る

 2014/15年度の冬作物は、収穫期の遅い南部州の一部で、降雨による収穫の遅れがあったとしているが、ほぼ終了した。現時点で、主作物である小麦生産量は2360万7000トン(前年度比12.3%減)、大麦生産量は795万4000トン(同17.7%減)としている(表2)。QLD州やNSW州、ビクトリア州で生育期間中の降雨に恵まれなかったことや、西オーストラリア州や南オーストラリア州でも記録的な生産となった前年度からの減少により、小麦はすべての州で減産となった。
 品質面については、穀物生産地帯の南部では、収穫期の過度な降雨により一部たんぱく含有量の低下がみられたとしているものの、全般的に見ると小麦、大麦ともにおおむね良好とのことである。

表
【伊藤 久美  平成27年2月12日発】
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