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カリフォルニア州で過去に例のない干ばつが継続(米国)

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 米国カリフォルニア州では、2014年から過去に例のない干ばつが継続している。
 国立干ばつ軽減センター(The National Drought Mitigation Center)の発表によれば、2015年4月7日時点で、カリフォルニア州の中で最も干ばつの影響が深刻なD4(異常な干ばつ)に分類される地域が44%、次のD3(極端な干ばつ)が22%、D2(深刻な干ばつ)が27%となっており、州の大部分が干ばつによる甚大な影響を受けている。(図1)。
カリフォルニア州の干ばつの影響

農業への影響は今のところ限定的

 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によるカリフォルニア州の干ばつに関する分析および2012年のセンサスによれば、同州の野菜ほ場のほぼ100%、牧草地の90%、果樹園の98%がかんがいの対象となっており、今のところ農業への影響は限定的と見られている。また、全米1位の生産量を誇る生乳生産についても、干ばつのひどいサンホアキンバレーに乳牛飼養頭数の87%が集中しているが、放牧ではなく、粗飼料や飼料穀物の給餌による飼育であることから、干ばつの影響を直接は受けづらいとされている。
 ただし、かんがいが行われている農地でも、地下水や農場内の水源利用ではなく、外部の河川等の地表水から取水している農地は、干ばつによる流水量の減少に生産が大きく左右されるとみられる(ERSによれば、外部の地表水に頼っているかんがい農地は全かんがい農地面積の1割強、それ以外にもその他の水源と地表水を複合的に水源としている農地は多いと分析している)。地下水によるかんがいが行われている場合でも、かんがいに必要な量の水が確保できない場合や、地下水位の低下等による取水コストが上昇する等の影響を受けることになる。
 米国農務省自然資源保全局(USDA/NRCS)が4月10日付で発表した調査レポートによれば、カリフォルニア州の重要な水源であるシエラネバダ山脈に残存する積雪量(snowpack)は、平年の7%〜8%の水準であると報告されている。このため、カリフォルニア州では春〜秋にかけて乾季を迎えることから、今後、干ばつがより悪化することが懸念されている。
【平石康久 平成27年4月15日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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