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豚肉の短期的需給見通しを公表(EU)

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 欧州委員会は2015年7月10日、農産物の短期的需給見通しを公表した。このうち、2015年の豚肉需給見通しの概要を以下のとおり紹介する。

豚肉生産量は前年比2.8%増

 2015年の豚肉生産量は、2342万3千トン(前年比2.8%増)と予測している。7年連続で減少していた母豚頭数が2014年12月の統計で増加に転じたこと、また、飼料穀物価格が安値安定傾向にあることなどから出荷頭数が伸びており、2015年第1四半期のと畜頭数は前年同期を5.6%上回った。一方で、EU最大の豚肉輸出先であったロシアの禁輸措置により、EUの豚肉需給は緩和傾向にあり、豚肉卸売価格は下落している。このため、同年3月には、民間補助在庫(PSA)が実施されたが、豚肉生産は引き続き厳しい状況にあることで、第2〜4四半期のと畜頭数は同1.8%に留まると予測している。

豚肉輸出量は前年比7.1%増

 豚肉卸売価格の下落とユーロ安で推移する為替相場により、2015年の豚肉輸出量は205万5千トン(前年比7.1%増)と見込んでいる。2015年第1四半期の輸出実績は、フィリピン、中国、米国、シンガポール向けが伸張し、全体で前年同期を4%程度上回った。特に韓国向けは、同国での豚流行性下痢症(PED)発生などに伴う減産のため、同30%を超える増加となった。第2四半期以降も、これら市場への輸出は安定的に推移するとしている。

域内消費は価格安で増加

 2015年のEU経済は、年率で2%近い成長が見込まれており、これに加えて豚肉価格の下落で域内消費の伸びも見込まれることで、1人当たりの年間豚肉消費量は、前年比700グラム増の32.7キログラムとし、EU全体の消費量は2138万3千トン(前年比2.3%増)と予測している。
【中野 貴史 平成27年7月14日発】
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