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欧州委員会、2014/15年度の生乳供給実績を公表

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加盟国全体の生乳出荷量、前年度比2.4%増

 欧州委員会は10月21日、2014/15年度(4月〜翌3月)の生乳供給実績を公表した。出荷クオータと直接クオータを合計したEU加盟国全体の生乳出荷量は、前年度比2.4%増の1億4998万トンとなった。また、前年度同様、全体ではクオータの総量を下回ったが、国ごとの超過量の合計は294万568トン、対象となる課徴金の総額は8億1836万ユーロ(1112億9696万円)と前年度から倍増した(表1)。
 EU加盟国は、生乳クオータ制度に基づき、毎年9月1日までに前年度の生乳供給量を欧州委員会に報告することとなっており、今回の公表はこれを集計したものである。なお、本制度は、EU酪農政策の中で長期にわたって実施されてきたが、2015年3月末で終了している。

※ 生乳クオータ制度は、各加盟国の生乳供給割当数量を定めた制度であり、生産者が乳業メーカーに出荷する「出荷クオータ」と、生産者が消費者に直接販売する「直接クオータ」の2つで設定され、クオータを超過した場合には、超過量100キログラム当たり27.83ユーロ(3785円:1ユーロ=136円))の課徴金が課せられる。
表1

12カ国がクオータを超過

 クオータを超過したのは12カ国であり、内訳は、超過量の多い順に、ドイツ(クオータを3.7%、111万351トン超過)、ポーランド(同5.8%、58万334トン超過)、オランダ(同4.0%、48万8025トン超過(出荷・直接クオータ計))、アイルランド(同4.4%、25万5798トン超過)などである(表2)。
 同年度のEU加盟国全体の生乳出荷量が前年度比2.4%増である中で、超過量も前年度比2倍以上となった。生乳クオータ制度の終了に向けて増産体制を整えていた国が多くあったとみられ、超過した国の数も前年の8カ国から12カ国に増えている。ただし、多くの国が各国のクオータを超過しているにもかかわらず、全体ではクオータの合計を3.0%下回っており、超過しなかった16カ国のうち、12カ国はクオータを10.0%以上も下回った。生乳クオータ制度の終了を契機に、増産を図る国とそれ以外の国との差が広がりつつある。
 なお、総額8億1836万ユーロ(1112億9696万円)の課徴金は、乳価低迷などにより厳しい状況下にある酪農経営に対する支援策などに充てられることとなっている。
表2
【大内田 一弘 平成27年10月28日発】
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