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2015/16年度主要穀物の生産状況等調査結果(第2回)を公表(ブラジル)

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 ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は11月10日、2015/16年度(10月〜翌9月)第2回目となる主要穀物の生産状況等調査結果を発表した。当該調査は、春植えの夏期作物(大豆、第1期作トウモロコシなど)と、秋植えの冬期作物(第2期作トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦など)の生産予測を毎月発表するものである。
 これによると、2015/16年度の主要穀物の作付面積は、夏期作物と冬期作物の合計で5789万〜5892万ヘクタール(前年度比0.2%減〜1.6%増)と見込んでいる。
このうち、第1期作トウモロコシの作付面積は、前年度に引き続き大豆への転換が進むことから減少予測となっている。 
 一方、大豆の作付面積は増加が予測されており、生産量は1億トン超えと過去最高を見込んでいる。
表1

第1期作トウモロコシ生産、前回報告から100万トン前後下方修正

 2015/16年度の第1期作トウモロコシ生産は、主要生産国での豊作により国際相場が低価格で推移する中、大豆に比べて収益性が低いと見込まれることから、減産と見通している。また、ブラジルでは、肥料の多くを輸入に依存しており、ドル高レアル安で推移する現在の為替相場下では肥料代が上昇している。このため、相対的に肥料投入量が少ないとされる大豆増産の流れが続くとみられている。
 第1期作トウモロコシは、例年、8月頃から南部より順次作付けされ、翌4月頃までに大体の収穫を終える。今回の報告では、2015/16年度の第1期作トウモロコシの生産量は前年度比11.8〜6.4%減と見込んでいる。これは、主要生産州で作付面積が軒並み減少するとしているためであり、特に南部の穀倉地帯での顕著な減少を見込んでいる。加えて、国内最大の第1期作トウモロコシ生産州のリオグランデドスル州では、降雨による水分過多の影響で、単収が落ち込む可能性が高まっており、これも押し下げ要因となった。一方、中西部では乾燥傾向にあるなど、現在、同国ではエルニーニョ現象の影響が徐々に見られる状況となっている(南部:多雨、北東部・中西部:乾燥傾向)。
 第2期作トウモロコシは、主に中西部と南部パラナ州で1〜3月にかけて作付けされ、5〜8月にかけて収穫が行われる。今回の報告では、未だ具体的な作付面積見込みが出されておらず、前年度並みに仮置きされている。今後、春植えの夏期作物(大豆、トウモロコシ)の生産状況を受け、徐々にその見通しが判明する。
図1
表2
 また、CONABは、新興農業開発地域である北東部を中心としたマトピバ地域の2015/16年度のトウモロコシ生産量を、前年度比7.0〜5.1%減と見込んでいる。マトピバ地域では土壌改良が進み優良農地が拡大する中、近年、大豆の生産が拡大する一方、トウモロコシの生産は、相対的に減少傾向となっている。
表3

大豆生産量、前回報告から100万トン前後上方修正

 2015/16年度の大豆生産量は、前年度比5.1〜6.8%増の1億トン超となり過去最高を更新する見込みである。この要因として、大豆の国際価格は下落傾向にあるものの、生産コストが低く、他の作物よりも収益性が高いことに加え、生育不良リスクが低いことが挙げられる。前回報告から、作付面積と単収が若干上方修正されたことから、約100万トン上乗せされた。
 例年、大豆の作付けは9月頃から順次開始され、12月までにほぼ終了する。2015/16年度は、最大生産州のマットグロッソ州で、降雨不足によりかんがい地域以外の作付けが遅れ気味であるものの、ほぼ全ての州で作付面積が前年度を上回る予測となっている。
 主要生産州の単収は、南部のリオグランデドスル州(国内第3位の大豆生産州)が多雨の影響で減少が見込まれるものの、それ以外の主要州は現在のところ、問題視されていない。
図2
表4
 なお、CONABは、これまで大幅な伸びを記録してきたマトピバ地域の2015/16年度の大豆生産量を、主に作付面積の拡大によりかなりの程度の増加を見込んでいる。
表5
【米元 健太 平成27年11月12日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-4391