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米国農務省、世界の乳製品需給見通しを発表

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 米国農務省海外農業局(USDA/FAS)が12月17日に公表した「Dairy: World Markets and Trade」によると、2015年の主要乳製品輸出国の生乳生産量は、ロシアの禁輸措置、米ドル高で推移する為替相場、中国の景気後退などによる輸入需要の減退などを背景に0.9%の増加に留まると見込んでいる。また、2016年の生乳生産量については、2015年の生乳生産者価格が低迷していることから生産量が伸び悩み、前年比0.8%の増加に留まると予測している。

主な乳製品輸入国の状況

中国

 2015年の全粉乳の輸入は、国内の在庫過剰により31万トン(前年比54%減)に減少とみている。一方、2016年の同輸入量は、在庫処理が一巡するとともに、都市化の進展や所得上昇による需要の伸びから、36万トン(同16%増)と見込んでいる。

ロシア

 2015年のバターやチーズの輸入量は、禁輸措置の継続に加え、ルーブル安や経済情勢の悪化による需要停滞などから、前年比4割程度の減少とみている。一方、禁輸措置は2016年8月に解除される予定のため、同年の輸入量は前年比増と見込んでいる。

主な乳製品輸出国の状況

EU

 EUは域内の乳製品価格が低迷していることから、輸出志向を強めている。2015年については、チーズは主要輸出先国のロシアの禁輸が継続していることや、全粉乳は中国の需要減により収益が悪化していることから、輸出が減少または伸び悩んだのに対し、それらと比較して収益が見込めるバターや脱脂粉乳の輸出が増加した。
 2016年は、EU域内の乳製品価格が引き続き安値で推移し、ユーロ安の為替も有利に働くとみられることから、国際市場での輸出競争力を維持し、乳製品輸出は増加傾向と予想している。

ニュージーランド(NZ)

 2015年の乳製品輸出は、中国向け全粉乳輸出が減少する一方、豪州や中国、米国向けのチーズ、シンガポールやフィリピン、タイ向けの脱脂粉乳輸出が増加している。
 2016年は、価格低迷により生乳生産量が減少すると見込まれることから、チーズや脱脂粉乳の輸出は減少と予測している。ただし、NZでは、乳製品生産品目の柔軟な変更が可能となるよう設備投資を進めており、輸出需要に対応して乳製品の生産、輸出量が変更される可能性がある。

米国

 2015年および2016年とも、米ドル高の為替が影響し、チーズの輸出量は減少と見込んでいる。
【平石康久 平成27年12月24日発】
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