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16年ぶりにEU産牛肉を輸入再開(中国)

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 中国は、2001年からBSE対策としてEU産牛肉の輸入停止措置を講じていたが、EU産牛肉の輸入再開に関し、各EU加盟国と個別に協議を行ってきた。中でもハンガリーについては、2014年11月から2015年6月にかけて国家質量監督検査検疫総局(AQSIQ)が、ハンガリーの食肉処理や加工といった各工程のリスク評価を行った。この結果に基づきハンガリー当局と協議を行い、両国間で冷凍牛肉の輸入再開合意がされたため、2016年1月14日、上海市の洋山港に同国産冷凍牛肉12トンが陸揚げされた。
 今回輸入された牛肉は、中国の旧正月である2月上旬の春節前には量販店に並ぶ予定とされている。今後、同国以外の各EU加盟国との輸入再開協議も進むとみられており、伸長する国内の牛肉需要に対し、輸入牛肉の供給増が期待されている。

参考 伸びる中国の牛肉需要

 中国では、所得の向上により牛肉消費量が増加している。2015年4月に農業部が公表した「中国農業発展報告(2015−2024)」によると、2015年の同消費量は前年比7.1%増の750万トン、その後も引き続き増加し、2024年には877万トンに達すると予測している(参考図1)。
図1
 中国は2014年以降、牛肉消費の増加に国内生産が追いつかず、輸入量が増加傾向にある。米国農務省海外農業局(USDA/FAS)が2014年10月に公表した「Livestock and Poultry: World Markets and Trade」によると、2014年の中国の肉用牛推定飼養頭数は1億300万頭であるが、飼養コスト上昇による小規模飼養農家の離農などから、2015年は5万頭減少すると予測している(参考図2)。
図2
 このため、2014年は消費量に対して生産量が10万トン不足する需給ギャップが生じたとみられ、この差は、2015年は39万トン、2024年には49万トンに拡大すると予測されている。
【伊澤 昌栄 平成28年1月18日発】
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