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韓国農村経済研究院、牛肉自給率は2020年以降上昇と予測(韓国)

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韓国の政府系研究機関である韓国農村経済研究院(KREI)は5月3日、「牛肉の自給率の動向と展望」を公表した。
これによると、牛肉自給率は、2014年以降低下し、2015年は推計で46.2%となった(表)。2015年に低下した要因として、KREIは、総需要量が増加した中、国産牛肉生産量が減少し、牛肉輸入量が増加したためとしている。
 
表
国産牛肉生産量が減少した要因について、生産者団体などでは、高級牛肉である韓牛と輸入牛肉の価格差が拡大したことによる韓牛消費量の伸び悩みから、韓牛の飼養農家の廃業により飼養頭数が減少したためとしている。現地報道などは、飼養農家が廃業する際に支給されるFTA廃業補償金が、飼養農家の廃業を加速させているとしている。また、牛肉輸入量の増加の要因について、KREIは、2011年の韓米FTAで輸入量が急増して以降、安価な輸入牛肉の需要が増加したためとしている。
KREIは、牛肉自給率について、2015年12月に発効した韓豪FTAにより、豪州産の輸入量増加も見込まれるため、2019年には38.8%まで低下すると予測している。しかし、2020年以降は、チェックオフ資金による韓牛の消費拡大策や給食、軍用食納入などの効果により、40%台前半にやや上昇すると見込んでいる。
一方、現地報道では、自給率上昇に対する先行きは暗いとされている。これは、2010年11月から翌4月に発生した口蹄疫の影響や今後も継続が見込まれる輸入牛肉の急増などにより、韓牛飼養農家が厳しい環境に置かれていることに加え、消費拡大策が年間4回(家庭の日、韓牛を食べる日など)に限られており、その効果が期待できないためとしている。さらに、飼養頭数を増やすことで韓牛価格の低下につながると危惧する飼養農家もいるため、国内生産量の増加も難しいとしている。
 
【伊澤 昌栄 平成28年5月20日発】
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