畜産 畜産分野の各種業務の情報、情報誌「畜産の情報」の記事、統計資料など

ホーム > 畜産 > 海外情報 > 2016年 > 脱脂粉乳の公的買入限度数量、3度目の引上げ(EU)

脱脂粉乳の公的買入限度数量、3度目の引上げ(EU)

印刷ページ
 欧州委員会は6月30日、規定改正を行い、脱脂粉乳の公的買入限度数量について3度目の引上げを行った。これにより、同数量は21万8000トンから35万トンとなった。同数量は、当初10万9000トンと設定されていたが、3月末には早くも到達したため、4月20日、特別追加支援措置として2倍の21万8000トンに引き上げられていた。今回、5月24日に再び買入申請量が限度数量に達したため、欧州委員会のホーガン農業・農村開発担当欧州委員は6月27日の農業理事会でさらに引き上げると発表していた。
 
 EUの脱脂粉乳平均卸売価格は、公的買入価格(100キログラム当たり169.80ユーロ(1万9697円:1ユーロ=116円))を下回るか同程度で推移しており、各国からの公的買入申請は増加傾向にある。
生乳生産量は、2016年は4月までの累計で前年同期比5.6%増(うるう年調整後は4.7%増)となり、前年同期を280万トン上回っている状況にある。国別に見ると、増加量はオランダの66万8000トン増を筆頭に、ドイツ60万8000トン、イタリア27万6000トン、ポーランド27万5000トン、アイルランド23万3000トンと続く。
 一方、EUの乳製品輸出は好調で、米国、サウジアラビア、エジプト、日本向けを中心に4月までの累計で前年同期比9%増となった(生乳換算ベース)。品目別では、バター(49%増)とチーズ(14%増)が大きく伸びている。しかし、その増加も生乳の増産分を吸収するまでは至っていない。
脱脂粉乳の公的買入量/週(2016年)
 欧州委員会は、共通農業政策(CAP)の共通市場規則(CMO)に規定される市場不均衡時の特別措置として、生乳減産を目的とした自主的生乳供給計画が実施できる規程を策定し、4月12日から6カ月の期間限定で施行したが、現時点で同計画は実施されていない。
 ホーガン農業・農村開発担当欧州委員は、この価格低迷など危機的状況は供給過剰により引き起こされたものであることを強調した上で、今後さらなる支援策を7月に打ち出すことを明らかにした。
【大内田 一弘 平成28年7月4日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-8527