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脱脂粉乳公的在庫の売渡入札、40トンが落札(EU)

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 欧州委員会は12月13日に実施した2万2000トンの脱脂粉乳公的在庫の売渡入札の結果、40トンが落札したと公表した。2015年7月から2016年9月9日までに各国政府に買い入れられた累計35万4000トンの公的在庫の売り渡しとしては初の入札であり、落札率は0.2%であった。
 
 今回、売渡入札に付された数量は、2015年11月1日までに買い入れられた2万2000トンで公的在庫量全体の6%にすぎない。ホーガン農業担当欧州委員は、公的在庫の放出にあたっては、回復の兆しの見えた脱脂粉乳の価格を阻害しないように市場を注視していくとしており、今回の売り渡しは、脱脂粉乳の価格に回復の兆しは見られるものの不安定さがあることから、在庫の一部を放出して様子を見ることとして実施された。
 
 応札の最低数量は20トンとされ、計1万9707トン、58札の応札があったが、落札したのはわずか2札(ドイツ、英国)となった。公的買入価格(100キログラム当たり169.80ユーロ(2万1225円:1ユーロ=125円))を下回った応札も8札(2380トン)あった。
 
 欧州委員会は、売渡最低価格を同215.10ユーロ(2万6888円)に設定した。直近のEU平均卸売価格の同201ユーロ(2万5125円)を7%上回る水準である。市場関係者は、公的買入価格は上回るものの、市場価格は下回って設定されると見ていたが、欧州委員会はかなり高めの価格を設定したことになる。
 脱脂粉乳のEU平均卸売価格が公的買入価格を上回っていることから、9月12日以降の新たな買い入れはない。しかしながら、調整保管(民間在庫補助=PSA)については、現在も継続中であり、12月5日の週には3カ国(ベルギー、ドイツ、オランダ)から計962トンが申請されている。
 脱脂粉乳のEU平均卸売価格の直近の公表価格は、売渡入札が行われる前の週の12月5日の週であり、その後の価格は未だ明らかとなっていないが、売渡入札の公表(11月23日)以降、大きな動きはないもようである。
 
 今回の入札の結果、最低価格の設定次第で市場への放出量が左右されることが明らかになった。ホーガン農業担当欧州委員は、今回は公的在庫の売却が目的ではなく、需給バランスの均衡と価格の回復を目的に実施したとしているが、次回以降の入札では、初回レベルの売渡最低価格を維持するのか、大量の公的在庫を減らすために売渡最低価格を引き下げるのか、欧州委員会の判断に注目が集まっている。
 
 売渡入札は、2万2000トンの全てが売却されるまで、毎月第1・第3火曜日に実施されることとされ、次回は、2017年1月3日(火)、今回の入札数量から落札数量の40トンを差し引いた2万1960トンを対象に行われる。
 
【調査情報部 平成28年12月28日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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