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マットグロッソ州で初のトウモロコシ専用のエタノール工場が近々稼動(ブラジル)

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 米国のSummit社、ブラジルのFiagril Participacoes社そして中国のHunan Dakang社の合弁企業として2016年に設立されたFS Bioenergia社は、ブラジル最大のトウモロコシ生産州であるマットグロッソ州で、2017年6月からトウモロコシ専用のエタノール工場を稼動させる予定である。
 一部のエタノール工場では、サトウキビの収穫端境期(3〜4カ月間)において、トウモロコシ由来のエタノールを生成しているとされるが、ブラジルのエタノール産業は、これまで主にサトウキビを原料に用いており、トウモロコシ専用のエタノール工場はマットグロッソ州では初とみられている。ガソリンのエタノール混合率は現在27%に設定されているが、今後、FS Bioenergia社の専用工場で生成されるエタノールは、エタノールが不足している中西部および北東部に供給されるとみられる。現地情報によると、同社は、2016年8月以降トウモロコシ農家との契約を順次進めており、既に需要量の20%程度を確保している。

 マットグロッソ州は、国内のトウモロコシ生産の4分の1(年間2000万トン強)を占めているが、州内消費量は400万トン程度にとどまっており、多くが飼料用として輸出に仕向けられている。同州のトウモロコシは、一般的に輸送コスト等を勘案して国内の最低水準の価格で取引されていることから、新たにエタノール原料として出荷できるようになると、トウモロコシ農家の収益性が改善する可能性が指摘されている。トウモロコシ専用のエタノール工場の稼動がトウモロコシ需給の引き締め要因になるとして、業界関係者の注目が集まっている。

 ブラジルでは、砂糖・エタノール企業の経営改善のためガソリンへのエタノール混合率を引き上げるなど、サトウキビ由来のエタノール生成を誘導してきた経緯があり、エタノール政策は、2018年に控えている次期大統領選以降、第2段階を迎え、増産が見込まれている。現地情報によると、マットグロッソ州およびマットグロッソ・ド・スル州では、FS Bioenergia社に続くトウモロコシ専用のエタノール工場の建設が計画されている。
【米元 健太、丸吉 裕子 平成29年1月11日発】
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