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欧州委員会、次期CAPの検討に向けてパブリックコメントを開始(EU)

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 欧州委員会は2月2日、2021年に始まる次期共通農業政策(CAP)の検討に当たり、広く意見を募るため、ウェブ上でパブリックコメントの募集を開始した。

 現行のCAPは、2014年から2020年までを対象期間としており、終期まで4年近く残っているが、次期CAPの検討開始については、2016年12月のEU農業観測会議においてユンカー欧州委員会委員長が提唱したものである。パブリックコメントは、3カ月後の5月2日まで募集され、その結果は7月に公表される予定である。欧州委員会は、これを受けて次期CAPに向けた改革の方向性をまとめ、11月以降年内に公表することとされている。

 改革の目的は、現在の農業を取り巻く状況の変化による社会的、政治的、環境的、経済的な課題に対応するためとされ、改革のキーワードとして「合理化」と「簡素化」が挙げられている。このうち、「簡素化」については、ユンカー委員長が現行のCAPが開始された直後(2014年11月)から、次期CAPに向けた課題としてホーガン農業農村開発担当委員に検討を指示していたものである。現行のCAPでは、環境対策や補助格差の是正などの大きな改革が実施されたものの、複雑かつ生産者負担も大きいとの批判が当初からあった。
 また、昨今のEUの農業をめぐる情勢の変化への対応もある。例えば、酪農部門では約30年間にわたって実施されてきた生乳クオータ制度が2015年3月末をもって廃止され、生産者は自らの責任で、需給を見ながら生産しなくてはならなくなった。そのための生産者の立場の強化も図られてきたが、ホーガン委員はさらなる強化について次期CAPに向けて検討することとしている。そして、EUの農産物価格が国際需給の影響を受け、しかもその変動が大きいことも特徴とされることから、生産者のリスクマネジメントのモデルの検討も進められている。
 さらに、地球温暖化対策も、パリ協定の達成に向けてより厳しい対応が求められることになり、CAPの合理化の範疇に入れられて検討される。
 これらの改革は、雇用の確保、経済成長、投資や持続的な発展などの欧州委員会の政策優先課題に沿って検討される。

 ホーガン委員は、パブリックコメントの開始に当たって、CAPは既に、食料安全保障、農村地域の活性化、環境・気候変動対策などに恩恵をもたらしているが、未来に向けたロードマップ作りは、その恩恵を拡大するものであると述べるとともに、潤沢な予算が必要との認識を示した。かつてEU予算の7割が農業関連に使われてきたが、現在は、欧州をめぐる情勢を反映して他分野への配分が増えたことから農業部門の予算は3割程度にまで縮小している。

 このパブリックコメントの募集は、EUの農業関係者のみならず、欧州の食料・農業の将来に関心を持つすべての人々に対して開かれて行われ、EUの政策形成への幅広い参加を求めている。
 なお、28の加盟国の言語で対応できるようにされているほか、ネット環境の不十分な地方や年配の生産者に対する配慮から、文書による意見の提出も受け付けるとしている。

※参考:5年ごとの欧州議会選挙は、次回2019年に行われる。それを受けて、欧州委員会の委員も刷新されることから(現欧州委員会委員の任期は2019年10月末まで)、次期CAPの策定・施行は、次期政権に引き継がれる。
【調査情報部 平成29年2月15日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-4397



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