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USDEC ヴィルサック会長、酪農業界の協働を呼びかける 〜IDFA年次会合から(1)〜(米国)

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 1月29日(日)から2月1日(水)にかけて、フロリダ州オーランド市で国際乳食品協会(IDFA(注))の年次会合が開催され、主催者発表によると1100人を超える酪農・乳製品関係者が参集した。同会合では1月31日(火)の昼食会において、前USDA農務長官で先日米国乳製品輸出協議会(USDEC)の会長兼CEOに就任したばかりのトム・ヴィルサック氏が就任後初となる講演を行い、出席者の酪農業界関係者に対し、互いに「協働、協力、連絡すること」を呼びかけた。

(注)IDFAは、全米の乳業メーカーおよび乳製品販売業者などを代表する組織であり、ワシントンDCに本部を有し、生乳産業基金(MIF)、全米チーズ機構(NCI)、国際アイスクリーム協会(IICA)の3部門で構成されている。会員数は約550者であり、会員の売り上げの合計は年間1250億米ドルに及ぶ。会員のうち約200者の乳業メーカーは、単一工場企業から多国籍企業までさまざまで、各社が運営する工場の数を合計すると約600カ所に上る。現在、全米で生産され、流通している生乳、チーズ、アイスクリームなどの85%が、IDFAの会員企業によるものである。

 乳製品貿易に関しては、米国にとって最大の輸出市場であるメキシコに言及し、「我々は、メキシコの企業との関係を維持する責任があり、彼らに対して、我々が今後もビジネスをする意向があることを知らせる責任がある」と述べた。また、地理的表示制度(GI)に関しては、米国は「非常に注意深く」ある必要があり、米国の二国間協定において一般名称を維持する必要があるとし、「我々はGIに関し、EU各国を注視する必要がある」とした。
 IDFAのマイケル・ダイクスCEOを交えて行われた討論会の中でも、同氏は様々なテーマに対し所感を述べた。まず、移民政策に関しては、米国酪農産業が移民労働力にも支えられている点に触れた上で、新政権の国家安全保障が包括的移民改革と一体で行われるべきとの希望を表明した。また、国家安全保障については、あまりにも視野狭窄的な見方をとっており、政権が国家安全保障委員会の構成を変更するのであれば、農業界の代表も加えるべきであるとも述べた。この他、次期農業法に関して、予算を先に考えるのではなく、何が必要であるかを明確にするところから始めれば、予算を分野や部局間で奪い合うことなく、必要な分野に集中できるようになるだろうと述べた。
 なお、次期農務長官であるソニー・パーデュー氏に話題が及ぶと、前任として24ページにわたる引継書を残したことを明らかにした。内容は農業にとっての貿易の重要性と、全国的な雇用の維持と創出に対する農業のポジティブな影響に力点が置いたとのことで、この点に関しては本会合の前週にパーデュー氏と面会した時にも力説したと述べた。
 
講演するヴィルサック氏
講演するヴィルサック氏
【調査情報部 平成29年2月21日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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