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豪州競争・消費者委員会、マレーゴールバン社を提訴(豪州)

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 豪州競争・消費者委員会(Australian Competition & Consumer Commission(以下「ACCC」という)、日本の公正取引委員会に当たる組織)は4月28日、豪州最大手の乳業メーカーであるマレーゴールバン(以下「MG」という)社を、豪州消費者法(Australian Consumer Law)違反で提訴すると発表した。
 MG社は、2015/16年度(7月〜翌6月)の生産者支払乳価を、年度終了まで残り2カ月となった4月に突如、乳固形分1キログラム当たり5.6豪ドル(476円:1豪ドル=85円)から同4.75〜5.00豪ドル(404〜425円)へ引き下げた(図)。
 
MG社 乳価推移
 ACCCは、同社の生産者乳価の引き下げは、多くの酪農家が予想していなかったものであることに加え、年度終了間際に実施されたことから、酪農家の多くはコストの削減が不可能であり、不利益を被ったとしている。ACCCは、MG社の生産者乳価の引下げが不適切であった理由を、次のように列挙している。 
  • MG社は、同社が公表する生産者支払乳価に関する情報は、酪農家が経営判断を行う上で非常に重要であることを理解している。
  • MG社は、酪農家が簡単に生乳の供給先を変更できないことを理解している。
  • MG社は、期中に発表する生産者支払乳価の年度末時点での見通しの単価を、年度当初の単価より高く設定し、引下げ前まで変更を行わなかったことにより、酪農家に生産者乳価が上昇するとの期待を抱かせた。
  • MG社は、酪農家は期中に発表される生産者支払乳価の年度末時点での見通しの単価は、状況の変化に応じて定期的に更新されるものであると認識していることを理解している。
  • MG社は、提示している生産者支払乳価が実現不可能であることを知っていたにもかかわらず、生産者支払乳価の見通しの変更を行わなかった。

 一方、ACCCは、協同組合であるMG社に対する罰金は間接的に酪農家の負担になることから、MG社に対しては金銭的な処罰を要求せず、前社長のヘル―氏と前財務責任者のヒングル氏に対して罰金などの処罰を求めていくとしている。
 なお、MG社はホームページ上で、ACCCの提訴については認識しているが、罰金を求められず、酪農家には被害がない点を強調している。
 
【大塚 健太郎 平成29年5月1日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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