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米国、ブラジル産生鮮牛肉の輸入を停止(米国)

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 米国農務省(USDA)は6月22日、安全性に対する懸念が再発したとして、ブラジル産生鮮牛肉(冷凍・冷蔵)の輸入を停止すると発表した。ブラジルから輸入される生鮮牛肉については、同国で食肉不正問題が起こった3月以降、食品安全検査局(USDA/FSIS)ですべて検査されていたが、検査対象のうち輸入が拒否される割合は、約11%(106ロット(約860トン))と、他国産の平均(約1%)を大きく上回った。
 USDAは、輸入拒否は、衛生上の理由などによるものであり、今後、ブラジルが何らかの対応を取らない限り、輸入再開は行わないとしている。ブラジルの現地報道によると、ブラジル産牛肉の一部に膿瘍があったことが原因とみられ、同国の農牧食料供給省は、口蹄疫ワクチンの接種が原因の可能性があるとし、調査を行うと発表した。
 両国は、2016年8月1日、17年に及ぶ交渉の末、生鮮牛肉輸出解禁の合意に至り、同年9月に輸出が開始されていた。ブラジル開発商工省貿易局(SECEX)によると、米国向け生鮮牛肉輸出量は、開始後堅調に推移し、2017年1〜5月には1万1461トンに達したが、今回の措置を受け、6月には前月比46.3%減となる2380トン、輸出額は同44.9%減となる1043万8000米ドルとなった(表)。
 ブラジルでは、EUを含む他の輸出先国が米国と同様の措置を講じる可能性があり、既に中国はブラジル産食肉の輸入時の検査を強化したと報じられている。
表
 一方、米国では、牛肉関係団体が今回の一件を受け、生鮮牛肉だけでなく、加熱牛肉を含めた全てのブラジル産牛肉の輸入を停止するよう要請している。米国は、ブラジル産加熱牛肉の最大の輸入国であり、2016年はブラジルの加熱牛肉の総輸出量の約31%となる3万1588トンを輸入しており、仮に輸入が停止された場合、ブラジルの牛肉加工メーカーに大きな影響を与える可能性がある(図)。
図
【野田 圭介 佐藤 宏樹 平成29年7月6日発】
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