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オランダの環境規制に伴う乳牛とう汰の状況(EU)

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 オランダ政府中央統計局は8月18日、酪農部門におけるリン酸塩排出削減計画の第2四半期までの進捗状況を公表した。
 これによると、年内に8200トンのリン酸塩の削減を目標としていたところ、8300トンが削減された。このうち、頭数削減計画が5400トン、営農中止計画が1100トン、飼料削減計画が1800トンとなった。
 
リン酸塩排出削減計画の進捗状況(酪農部門)(2017年6月現在)
 オランダは九州程度の小国ながらも集約的な畜産業が行われ、国内消費をはるかに上回る農産物を生産し、世界に名だたる農産物の輸出国としての地位を確立している。乳用経産牛の飼養頭数は179万頭(2016年12月)、生乳出荷量は1432万トン(2016年)となり、日本の同頭数87万頭(2016年2月)、同生産量739万トンのほぼ2倍を有する。
 その結果、土地への負荷が重く、家畜のふん尿に多く含まれるリン酸塩の排出量がEUの基準を上回っていたが、特例として基準値を上回る排出が認められていた。
 そのような中において、生乳クオータ制度廃止(2015年3月末)を受けて、生産者の増産意欲の高まりから乳牛飼養頭数が増え、リン酸塩排出限度量を2015年、2016年と2年続けて超過した。
 このため、欧州委員会は、2017年の排出超過については、リン酸塩排出削減計画を策定し、排出量をEUが特例として認めてきた水準まで引き下げることを条件にこれを認めた。
 リン酸塩排出削減計画は、酪農、養豚および養鶏部門で1万800トンのリン酸塩を削減することを目標としており、酪農部門による削減が全体の75.9%を占める。
 酪農部門の計画は以下の3つの柱からなる。
 
1.頭数削減計画
 生産者は、本年12月までに2015年7月2日時点の飼養頭数となるよう12万4000頭を処分し、これによりリン酸塩5000トンを削減する。当初は4000トンの削減を目標としていたが、計画を上回る削減が進められたことから目標値が上方修正された。
 生産者には、処分に応じて奨励金が支払われる。奨励金の単価は、8月までは経産牛換算1頭(12カ月齢以上の未経産牛は0.53頭、12カ月齢未満の雌子牛は0.23頭に換算。以下同)当たり120ユーロ(1万5600円:1ユーロ=130円)、9月以降12月までは同300ユーロ(3万9000円)となっている。
 また、計画を達成できなかった場合は罰金が課される。2016年10月1日時点の飼養頭数を基準として、削減頭数が同頭数以下の場合は、同112ユーロ(1万4560円)、同頭数超の場合は、同480ユーロ(6万2400円)が徴収される。
 なお、処分に当たっては、と畜のみならず、自然死、売却も可能とされている。
 
2.営農中止計画
 2017年に経営を中止する生産者に対し、奨励金が支払われる。当初、リン酸塩2500トン(経産牛6万頭)の削減が目標とされていたが、1の進捗が順調であったことから、1500トン(同3万6319頭)に下方修正された。
 早期削減を目指すことから、2月20日に受け付けられた申請1回目の奨励金は、経産牛換算1頭当たり1200ユーロ(15万6000円)に設定されたところ、予想を上回る申請があり、受け付けは1日で終了した。2回目の申請は5月8日から14日まで受け付けられ、奨励金は同730ユーロ(9万4900円)に設定された。
 当初の削減目標には届かなかったものの、申請は打ち切られ、1回目の申請が9割を占める結果となった。
 
3.飼料削減計画
 乳牛用配合飼料中のリン酸塩の含有量を1キログラム当たり4.3グラム以下に抑えることにより、リン酸塩1700トンの削減を目標とする。
 
 
 同計画の対応により、2017年の生乳生産量は6〜10%減少すると見られることから、生乳生産者価格の上げ要因として期待されている。
 一方、乳牛の処分により牛肉生産は増加すると見られることから、牛肉価格としては下げ要因となることが懸念されている。
【調査情報部 平成29年8月25日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-8527



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