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日本産牛肉の輸入再開で富裕層の購買機会が拡大か(マレーシア)

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 日本の農林水産省は2017年11月7日、マレーシア向け日本産牛肉の輸出が7年ぶりに再開したと発表した。同日以降、マレーシア農業・農業関連産業省獣医サービス局(DVS)の認定を受けたハラール方式を取り入れた2カ所の日本の輸出施設で処理された牛肉(月齢制限はなし。)の輸出が可能となった。日本国内で輸出前12カ月間口蹄疫およびBSE(牛海綿状脳症)の発生がないことが主な輸出条件となる。
 日本産冷凍牛肉の輸入は、2009年に6トンに達していたが、マレーシア政府は、10年4月に10年ぶりに宮崎県で口蹄疫が発生したことを受け、同年5月に日本産牛肉の輸入を禁止した。口蹄疫の終息以降は、農林水産省と厚生労働省が連携し同国と輸出再開に向けた協議を進めてきた。
 同国の牛肉の消費量は、主な食肉の中で最も少ないが、伸び率は経済成長による所得の向上を反映して最も高くなっている(表1)。一方、牛肉の自給率は22.4%にすぎず、その多くを輸入に依存している。輸入量の8割はインド産水牛肉で、残りの2割弱は豪州産牛肉などとなっており、豪州産WAGYUも店頭で目にする。インド産水牛肉は、市民が食料品などを購入する伝統市場(ウェットマーケット)、豪州産牛肉は量販店、豪州産WAGYUは高級デパートで販売されている。
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 2014年の民族別所得階層別の世帯月収をみると、いずれの階層も中華系が最も高いものの、2009年と比べて全ての民族で大幅に上昇している(表2)。また、年間可処分所得が3万5000米ドル(392万円)を超える富裕層の人口は東南アジア諸国連合(ASEAN)の中で最も多い。齋藤農林水産大臣は報道発表において、「マレーシアは今後の経済成長が見込まれ、日本産牛肉の有力な輸出先になると期待している」と述べており、今後、マレー系と中華系の上位層が、日本産など高価格帯の牛肉をデパートや高級量販店で購入する機会もあると思われる。
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【青沼悠平 平成29年11月15日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:青沼悠平)
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