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再生可能燃料の使用義務量を公表(米国)

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最終更新日:2017年12月8日

 米国環境保護庁(EPA)は2017年11月30日、2018年の再生可能燃料の使用義務量(RFS)の最終決定を公表した。RFSは、2007年の「エネルギー自立・安全保障法(EISA)」により2022年まで示されているが、EPAは毎年、実態を勘案してRFSを決定することとなっている。
 これにより、2018年のRFSは192億9000万ガロンとなった。本年7月に示された当初案の192億4000万ガロンからわずかに上方修正されたものの、EISAが示した260億ガロンを大幅に下回った(表)。
また、種類別に見ると、トウモロコシ由来バイオ燃料はEISAおよび当初案と同水準である一方、先進的バイオ燃料は、EISAの水準を大きく下回っているものの、当初案からは上方修正された。
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 全国トウモロコシ生産者協会(NCGA)は、「EPAがトウモロコシ由来のバイオ燃料について、RFSを堅持する責務を果たしたことを喜ばしく思う。今年度のトウモロコシは、予想以上の豊作で、直近30年間で最大の期末在庫になる。農家は、収入を得るために市場での売却を望んでいる。エタノールは米国産トウモロコシへの有益な需要を増加させる重要な動力である。」とのコメントを公表した。
 また、再生可能燃料協会(RFA)も、「EPAが米国のエタノール製造業者、農家、消費者などから、セルロース由来の再生可能燃料の当初案を悲観する何万ものコメントを受け取ったと思われることは、喜ばしい。最終決定では、当初案を5000万ガロンも上回る修正が行われた。RFSは、新たなセルロース処理技術などへの投資を促進するものであり、将来を見通す制度として存続させる必要がある。」と肯定的なコメントを公表している。
 一方、米国石油協会(API)は、「RFSは、破綻しており、包括的に刷新しなければならない。RFSが制定されて以降、米国の石油輸入への依存度は非常に減少した。この制度は、もはや消費者の課題を解決するためではなく、課題を創出するために存在している。」とのコメントを公表している。また、全米バイオディーゼルボード(NBB:National Biodiesel Board)や米国燃料石油化学製品製造者協会(AFPM:American Fuel and Petrochemical Manufacturers)も今回の決定に否定的なコメントを寄せている。

【平成29年12月8日発 渡邊 陽介】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査除法部 (担当:国際調査グループ)
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