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韓牛など農畜水産物の売上減少を受け、キム・ヨンラン法を一部改正へ(韓国)

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 韓国国民権益委員会(注)(以下「委員会」という)は11日、韓牛など農畜水産物の売上減少を受け、「不正請託及び金品等の授受の禁止に関する法律」(通称:キム・ヨンラン(金英蘭)法)の一部改正案を可決したと発表した。改正案は、閣議決定、国会審議・議決を経て、正式に施行される。

 改正案の内容は、贈答品などの授受の上限額の見直しである(表)。贈答品は、経済的な影響を配慮し、農畜水産物に限り現行の5万ウォン(5000円)から10万ウォン(1万円)に引き上げる。一方、慶弔費は、一般的な相場より高いとの意見を受け、花輪、生花を除き現行の10万ウォンから5万ウォンに引き下げる。
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 委員会は今回の見直しに先立って、キム・ヨンラン法の社会的、経済的な影響を以下のとおり調査している。
 その結果、社会的な影響については、施行以降、公務員に対する金品の提供や接待は減少し、公務員などの規律意識が向上したなど、肯定的な意見が目立った。
 また、経済的な影響については、国民の71%が経済に良い影響を与えているとした。公正な競争が促進されることにより、中長期的な経済成長と雇用創出が見込まれ、ソウル大学は、国家の清廉度が10点(2016年は100点満点中53点(過去最低点))上昇すれば、GDPが8兆5785ウォン(8579億円)増加し、2万7000〜5万人の雇用が創出されると試算している。
 一方で、農畜水産物のギフト商品の売り上げや韓牛、花き、水産物などの生産量と取扱量が減少しており、経済損失は9020億ウォン(902億円)に上り、4267名の雇用が喪失されたことが分かった。
 現地報道によると、2016年のキム・ヨンラン法施行以降、贈答品の定番であるギフト商品の売り上げは減少しており、韓牛農家は、「今回の引き上げが及ぼす影響は軽微なため、政府は、我々および関係団体の要求に引き続き耳を傾ける必要がある」としている。
(注)「腐敗防止及び国民権益委員会の設置と運営に関する法律」に基づいて設置された国務総理直属の国家行政機関。

(参考)キム・ヨンラン法
 公務員、学校関係者および報道関係者に対する賄賂や接待を禁止する法律で、2016年9月28日に施行された。国会議員は含まない。
 主な概要は以下のとおり。違反した場合は、3年以下の懲役または3000万ウォン(300万円)以下の罰金が課せられる。
・不正請託の禁止
 許認可、人事、入札、補助金などに関して、公務員などに対し、不正請託をしてはならない。公務員などはこれに応じてはならない。
・金品等の授受の禁止
 公務員などおよびその配偶者は、職務に関係なく、同一人から1回に100万ウォン(10万円)または1年に300万ウォン(30万円)を超える金品を授受してはならない。
・飲食、贈答品、慶弔費
 公務員などは、原則として利害関係者から金品や供応接待などを受けることはできないが、円滑な職務の遂行、社交、儀礼などの目的である場合に限り一定額を上限に受け取ることができる。
・ゴルフ接待の禁止
【青沼悠平 平成29年12月26日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:青沼悠平)
Fax:03-3583-4389