国際情報コーナー 農畜産物全般、畜産、野菜、砂糖、でん粉の海外情報、輸出促進対策などの記事、統計

ホーム > 国際情報コーナー > 海外情報 > 海外情報(野菜) > トマトの中期的需給見通しを公表(EU)

トマトの中期的需給見通しを公表(EU)

印刷ページ

最終更新日:2017年12月27日

 欧州委員会は12月18日、2017年から2030年までの13年間の農畜産物の中期的需給見通しを公表した。このうち、野菜・果実において言及のあるトマトについての概要を以下のとおり紹介する。
 
 EUの2016/17年度(10月〜翌年9月)のトマト生産量は、1823万トンとなった。このうち、4割が生食用で6割が食品加工用である。
 生食用トマトは、カクテルトマト、チェリートマト、ミニトマトなど消費者の細かい需要に対応した品種が生産されている。生食用トマトの生産量は、5カ国(スペイン、イタリア、オランダ、ポーランド、フランス)で全体の75%を占める。一方、加工用トマトは、3カ国(スペイン、イタリア、ポルトガル)で全体の94%を占める。
 生食用トマトのこの10年間の動向を見ると、生産量は増えていないものの生産額は増えており、特に、フランス、ドイツ、イタリア、スペインでは約20%増となった。今後、生産量については、作付面積は減少すると見込まれるが、単収が増えていること、すべての生産地域で収穫期間が長くなったことから、2016/17年度並みの水準で2030年まで推移するとみられる。一方、生産額については、ミニトマトなど高付加価値品種のシェアの増加に伴い増加が見込まれる。
 生食用トマトは、温室でも露地でも栽培され、露地栽培は主に南部の加盟国で行われている。しかし、収穫期間の長期化で、北部の加盟国では光熱費が嵩み、南部では水の使用量が増加するなど、持続的な生産に逆行する事態が生じている。
 EUの生食用トマトの1人当たり消費量は、直近3年間の平均15.0キログラムから、2030年には14.4キログラムとわずかに減少すると見られる。
 この10年間の生食用トマトの輸出量は減少基調にあり、特に、2014年8月からのロシアの禁輸措置の影響が大きい。しかし、EU域外からの需要は安定しており、2030年に向けて輸出は増加すると見込まれる。
 
 加工用トマトの生産量は、商品の細分化や競争力の高まりによって、2030年まで年平均0.4%で増加すると見込まれている。
 加工用トマトの1人当たり消費量(生トマト換算)は、直近3年間の平均20.5キログラムから、2030年には21.1キログラムまで増加すると見込まれる。これは、調理済み食品などの加工食品や南欧地中海料理などの需要が高まっていることによるとされる。

【調査情報部 平成29年12月27日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-8527