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2017年農畜水産業の生産量、額ともに増加、耕種部門堅調(フィリピン)

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 フィリピン統計庁は1月19日、2017年の農畜水産業の生産実績を発表した。これによると、生産量は1億92万トン(前年比11.0%増)、生産額は1兆7149億ペソ(3兆4298億円、同9.1%増)と台風や干ばつの影響などから減産した前年と比べて増加した(表)。

耕種部門は、気候条件に恵まれ、サトウキビが大幅増

 農畜水産業の生産量の約9割を占める耕種部門は、主要作物であるサトウキビが大幅に増加したほか、米、トウモロコシ、キャッサバなども堅調であったため、生産量は9152万トン(同12.1%増)と増加した。
 サトウキビについては、気候条件に恵まれたほか、ビザヤ地域では、優良品種の導入、施肥量の増加により単収が向上したこと、ミンダナオ地域では、砂糖需要の増加により作付面積が拡大したことなどにより、前年を大きく上回った。
 トウモロコシについては、下半期に、コーヒーやゴムなど他作物への転作から減少したものの、ハイブリット品種の利用拡大や作付面積の増加などにより前年を上回った。
 キャッサバについては、大手食品加工企業が飼料工場を再開させるなど需要が増加したことから、作付面積が増加した。

畜産では、豚肉、鶏肉が好調

 家畜部門の生産量は、生乳および豚肉が増加したことにより、277万6000トン(同1.1%増)と微増したが、生産額は、農家販売価格が堅調に推移したため、2916億ペソ(5832億円、同12.8%増)となった。
 豚肉については、食肉加工業者、ホテル、レストランなどからの需要が増加したことなどから、生産量は増加した。生乳については、生乳価格の上昇により乳用牛飼養頭数が増加したほか、水牛およびヤギ由来の生乳生産量も増加した。
 
 家きん部門は、前年に引き続き鶏肉および鶏卵が好調であったため、生産量は231万5000トン(同4.6%増)、生産額は2147億ペソ(4294億円、同5.9%増)となった。これは旺盛な需要を反映して、大規模企業経営(インテグレーター)の規模拡大が相次ぎ、ひなの供給も増加したことによる。

 食肉消費は、高い経済成長と人口の増加により、増加傾向にある。消費の大部分が豚肉と鶏肉であるが、1人当たり見ると、豚肉が横ばいに推移している一方、家きん、とりわけ鶏肉は増加が著しい(図)。これは、ファストフード店が都市部以外でも出店攻勢を強めており、鶏肉の消費される機会が外食を通じて増えていることなどによる。
 こうした背景もあり、インテグレーターの規模拡大などが続いており、ブロイラーの飼養羽数、生産量は増加している。
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【青沼悠平 平成30年1月31日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:青沼悠平)
Tel:03ー3583ー4389