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レギュラーガソリンからバイオ燃料への移行開始(ベトナム)

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最終更新日:2018年2月1日

 ベトナムでは、2018年1月1日からレギュラーガソリン(RON92)からバイオ燃料(E5(注))への移行が始まった。今後、消費者は、バイオ燃料とハイオクガソリン(RON95)から選択することとなり、エタノールの消費量が増加する可能性がある。

 政府は2007年、化石燃料への依存の軽減、温室効果ガスの排出量削減による環境の改善、農産物由来のエネルギー利用による持続可能な農業の実現などを目的するバイオ燃料推進政策を発表し、レギュラーガソリンからの移行を目指してきたが、消費者の関心が低く、バイオ燃料の供給体制も整っていなかったことから、先延ばしとなっていた。

 現地報道によると、今回の移行に対し、多くの消費者は不安や不満を抱いており、ある消費者は、「多くの消費者は、バイオ燃料には火災の危険がある上、レギュラーガソリンよりも価格が高いと言っている」と話す。
 一方、移行から約2週間後に開催され、政府やベトナム自動車工業会(VAMA)などが参加したフォーラムで、政府は、「移行の準備は慎重に行った。消費者はバイオ燃料に慣れてきたが、バイオ燃料が自分の車両に適しているかを承知していなかったり、バイオ燃料の品質を信頼していない者もいる」と述べた。
  これに関し、VAMAは、これまでの調査結果を示し、「バイオ燃料は、1997年以降に製造された車両に対してはマイナスの影響を及ぼさない。それ以前に製造されたものにはマイナスの影響を及ぼすこともあるが、安全性に問題はない」とした。
  また、石油卸売最大手のペトロリメックスは、「推計によると、既に消費者の65%がバイオ燃料へ切り替えており、さらに増加している」と現状を語った。

(注)95%のレギュラーガソリン(RON92)と5%のエタノールを混合したバイオ燃料である。ベトナムにおけるエタノールの原料は、ほとんどがキャッサバである。

 2017年6月に当機構が実施した現地調査によると、ベトナムで生産されたキャッサバの多くは、でん粉やチップ・ペレットに仕向けられており、エタノール向けはごくわずかであった。今回の移行に伴い、キャッサバ仕向け割合が今後どのように変化していくか注目していきたい。


【山下佳佑 平成30年2月1日発】
このページに掲載されている情報の発信元
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