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ブラジル産鶏肉へのアンチ・ダンピング税の賦課を仮決定(中国)

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 中国商務部は、6月8日、ブラジル産鶏肉(注1)に対し、アンチ・ダンピング税を暫定的に課すことを仮決定したと発表した。この措置は、9日から適用された。なお、『中華人民共和国アンチ・ダンピング条例(注2)』によると、対象企業からの反論の提出や継続調査などを経て、通常、調査開始公告(本件の場合は昨年8月)から12カ月以内に最終決定を行うとされている。

注1:対象となる鶏肉とくず肉のHSコード
   02071100、02071200、02071311、02071319、02071321、02071329、02071411、02071419、
   02071421、02071422、02071429、05040021

 2:中国で国務院が定める条例は、日本の政令に相当する。

 昨年6月、中国畜牧業協会を代表とする国内鶏肉生産者から、ブラジル産鶏肉のダンピング(不当廉売)について、中華人民共和国アンチ・ダンピング条例に基づく申請があったことから、中国商務部は、同年8月から調査を行ってきた。その結果同部は、ブラジル産鶏肉のダンピングにより、2013年1月から2017年3月の間に国内鶏肉生産者が損害を受けたとの仮決定を下した。そして、ブラジルからの全ての対象品目にアンチ・ダンピング税を暫定的に課すこととした。

 中国商務部の発表によると、29の企業(JBS社のグループ会社を含む)には個別に税率が設定されており、その他の言及のない企業は一律38.4%となっている。中でも、ブラジル最大の鶏肉輸出パッカーであるBRF社は25.3%、第2位のJBS社は18.8%とされている(表1)。
表1
 今回の発表を受け、ブラジルの株式市場では不安が広がり、8日の株価は、BRF社が前日比7.5%安、JBS社も同4.1%安となった。

 2017年の中国の鶏肉輸入量は31万1000トン(調理用換算)であり、ブラジル産がその8割以上を占めているものの、国内供給量に占める輸入量の割合は2.7%に過ぎない(表2)。そのため、ブラジル農牧食糧供給省は、「ブラジル産鶏肉が中国国内の販売価格に大きな影響を与えることはない」としている。
表2
【三原 亙 佐藤 宏樹 平成30年6月13日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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