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ホーム > 畜産 > 海外情報 > 2018年 > USMEF、中国の報復関税による豚肉・牛肉輸出への影響を試算(米国)

USMEF、中国の報復関税による豚肉・牛肉輸出への影響を試算(米国)

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 米国食肉輸出連合会(USMEF)は2018年6月26日、中国が講じた報復関税による米国の豚肉および牛肉輸出への影響に関する試算を公表した。
 これによると、豚肉は、4月2日から課された25%の追加関税に加え、7月6日からさらに25%の追加関税が課されることにより、中国市場において、価格競争力が損なわれ、輸出量が減少すると見込まれている。また、牛肉は、現在の中国向け牛肉輸出量は少ないものの、今後見込んでいた潜在的な拡大が損なわれると見込まれている。概要は以下の通りである。

豚肉への影響

中国市場の概要
  • 2017年、中国は、米国産豚肉(くず肉を含む)にとって輸出量で第3位(30万9284トン)、輸出額で第4位(6億6300米ドル)の輸出先であった。
  • 中国へ輸出されている豚肉は、もも肉やうで肉などの加工用に用いられる部分肉と卸売市場で販売される豚足や内臓などのくず肉に二分される。
関税
  • 中国政府は4月2日、米国が鉄鋼およびアルミニウムへの追加関税を課したことに対する報復措置として、ほとんどの米国産豚肉製品に25%の追加関税を賦課した。この追加関税は、冷凍豚肉の場合、既存の最恵国税率12%(別途、付加価値税10%)に上乗せして賦課される。
  • さらに、中国政府は6月16日、米国が中国産の自動車や産業ロボットなどに追加関税を課したことに対する報復措置として、米国産豚肉、くず肉、豚の脂肪に対して、7月6日以降25%の追加関税を賦課すると発表した。
  • USDAによると、2つの追加関税が課された場合、関税と付加価値税の合計は78%に相当する。豚肉1ポンド当たり1米ドルと仮定した場合の算定式は、次のとおりである。
180709海外情報図1
損失の試算
  • 市場シェアの減少と輸出単価の低下によって、米国産豚くず肉の輸出額は、2018年5月から12月まででは1億米ドル以上減少し、1年間では約1億5000万米ドル減少することが見込まれる(表)。
  • 中国向けくず肉の輸出額の低下による米国の豚肉業界の損失は、豚1頭当たり6.80米ドル程度となる可能性がある。2018年5月から12月では5億8000万米ドル、1年間では8億6000万米ドルに達する。これに、中国への重要な輸出部位であるもも肉およびうで肉価格の下落による損失を加えると、豚1頭当たり9.00米ドルを越え、5月から12月で7億7000万米ドル、1年間で11億4000万米ドルの損失に達するだろう。
180709海外情報図2
  • 新たな関税の賦課は、中国の豚肉生産が回復し、輸入量が減少しているという極めて間の悪いタイミングである。中国市場は、非常に価格競争性が高いので、米国の豚肉生産者や輸出業者は、高関税下で輸出を維持するためには、さらに価格を下げなくてはならない。
  • いくつかの低価格商品では、輸出業者はもはや追加関税に対応できないだろう。これらの商品は、低価格で他の市場に輸出されるか、多くの場合、レンダリングに回されるだろう。

牛肉への影響

中国市場の概要
  • 中国の牛肉輸入量のうち、米国産は1%にすぎないが、2017年6月に中国輸出が再開されて以降、米国の牛肉業界は、世界で最も急速に牛肉輸入を増加させており、大きな潜在力を有する市場として、中国市場にとてつもない投資を行ってきた。
  • 中国特有の輸入条件によって、現状では米国産牛肉のうちわずかしか中国輸出に適合しておらず、中国の基準に適合した牛肉を生産するには、サプライチェーンのすべてにわたる計画や投資、調整が求められる。それゆえに、中国の基準に適合した牛肉の流通ルートの構築には時間を要し、豪州産穀物肥育牛肉など中国が輸入している他国産牛肉に比べ著しく高値となっている。豪州は、中豪FTAにより、今年は7.2%という有利な関税率で中国へ輸出している。

関税
  •  中国政府は、7月6日から米国産牛肉に25%の追加関税を課し、関税率は12%から37%(別途、付加価値税10%)に上昇した。

損失の試算
  • 米国産牛肉に対する25%の追加関税は、米国産牛肉の中国向け輸出を抑制し、今年の残りの期間における牛肉輸出額を3000万米ドル超減少させるだろう。 
  • しかし、本当の影響は、今後数年間にわたる輸出増加の機会が損なわれることである。中国向け輸出の認可工場リストは拡大されてきており、米国政府は、もっと多くの牛肉製品が承認されるように働きかけている。こうした改善により、追加関税が課されるまでは、USMEFは、輸出額が2018年の7000万米ドルから2020年には4億3000万米ドルに増加すると見込んでいた。もし、関税率が速やかに通常の12%に戻らなければ、今後数年間で見込んでいた輸出拡大機会の喪失は、数億米ドルとなるだろう。
  • 中国市場は、とてつもない潜在能力を有している。もし、中国が他のアジア諸国と同様の輸入条件になれば、その後5年間で米国産牛肉の中国向け輸出は40億米ドルを上回るだろう。業界としては、アクセスの拡大と中国の非関税障壁の解決の必要性について引き続き強調する。
※6月19日に掲載した「米国産の畜産物や大豆など545ラインに追加関税を賦課(中国)」の中で、「なお、豚肉およびくず肉は、既に4月2日から25%の追加関税が課されている。これらのラインは、今回の発表にかかわらず、引き続き25%の追加関税が課される。」と報じましたが、4月2日に課された追加関税にさらに25%の追加関税が課されることが明らかとなりましたので、訂正しました。
【渡辺 陽介 平成30年7月9日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-4397



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