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豪州大手小売業2社、干ばつに苦しむ酪農家向け支援策を発表(豪州)

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 豪州の大手小売業者であるウールワース社とコールズ社は、今年9月、干ばつにより厳しい経営を強いられている酪農家を支援するため、プライベートブランド牛乳の販売価格を1リットル当たり10豪セント(8.3円、1豪ドル=83円)引き上げ、その引上げ分を酪農家支援のために寄付すると発表した。
  現在、豪州のクイーンズランド(QLD)州とニューサウスウェールズ(NSW)州では深刻な干ばつが発生しており、牧草の生育不良、飼料価格の高騰、かんがい用水の取引価格の上昇など、酪農経営におけるコストが大幅に増加しており、多くの酪農家が厳しい経営を強いられている。
  この状況を受けて、QLD州の酪農家団体であるQLD酪農協会(QDO)は、9月3日、スーパーマーケットに対して牛乳の販売価格を1リットル当たり10豪セント引き上げ、牛乳の販売額から引き上げ分に相当する額を酪農家支援の資金として拠出するよう要請するための署名活動を開始した。
 この活動はマスコミなどで注目され、豪州全体で大きな問題として注目されたことから、農業・水資源省のデビッド・リトルプラウド大臣は、9月5日、小売業者が支援する意思を示した場合、牛乳を購入する消費者から牛乳1リットル当たり10豪セントを徴収する、暫定的な課徴金制度を実施する考えがある旨の声明を発表した。
 これら一連の動きを受け、ウールワース社は、2リットルおよび3リットル容器のプライベートブランド牛乳の販売価格を、1リットル当たり1豪ドルから1.1豪ドルに改定し、その引き上げ分を乳業メーカーを通じて干ばつにより被害を受けた地域の酪農家向けの支援金として寄付すると発表した。コールズ社も、ウールワース社の動きを受け、酪農家支援のためにプライベートブランド牛乳の販売価格を改定すると発表したが、価格改定するのは3リットル容器入りのプライベートブランド牛乳のみとしており、3豪ドルの販売価格を3.3豪ドルに引き上げる。コールズ社は、この引き上げ分を、全国農業者連盟を通じて干ばつによる被害を受けた酪農家向けの支援金として支出するとしている。
 署名活動を開始したQDOは、この大手小売業2社の動きを歓迎している一方、牛乳の価格が引き上げられるのはプライベートブランド牛乳に限定されていることから効果が限定的であることに加え、乳業メーカーのブランドで販売している牛乳より安い価格で販売されているプライベートブランド牛乳の販売促進につながる可能性(注)がある点を懸念している。

(注)豪州では、ウールワース社とコールズ社の2社の売上高が小売業界の7割を占めており、寡占化が進んでいる。この2社が、2011年から「1リットル1豪ドル牛乳」と呼ばれるプライベートブランド牛乳の発売を開始した。それ以降、酪農乳業界は、このプライベートブランド牛乳が牛乳の販売価格の下落、ひいては生産者乳価の下落につながっており、酪農業界の持続性を阻害していると批判してきた。
 
【大塚 健太郎 平成30年10月11日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-4394



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