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ジェームズダイソンアワード(JAMES DYSON AWARD)にばれいしょでん粉原料の生分解性プラスチックが上位20位に選出(イギリス)

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最終更新日:2018年11月19日

 若手デザイナーやエンジニアの育成を目的に創設された「JAMES DYSON AWARD」(注)にスウェーデンのルンド大学の学生が考案した「ポテトプラスチック(ばれいしょでん粉を原料とした生分解性プラスチック)」がファイナリストの20作品にノミネートされた。
 
注:JAMES DYSON AWARDは、イギリスの家電メーカーダイソンのチーフエンジニアの名前を冠したジェームズダイソン財団によって運営され、優勝者へは3万ポンド(約450万円)と所属先の大学・大学院への寄附金5000ポンド(約75万円)が贈られる。なお、作品のデザインおよび生産持続可能性、技術的実行可能性に加えて、製品化に必要な製造コストや販売価格などのリサーチまで行っているかが審査の対象となる。
 
 当該作品(以下「ポテトプラスチック」)は、ばれいしょでん粉と水のみを原料とし、これらをのり状になるまで加熱した後、型に入れ、加熱しながら押し固めることで簡単にスプーンやフォークなどに成形できる。ポテトプラスチックは、2カ月で生分解されるため、使い捨てのプラスチック製品の代替品としてファストフード店での利用が想定されている。また、高温で処理する必要がなく、金型ではなくプラスチックで作られた型でも成形可能であることから、コストダウンが図れるという。
 
 考案者によると、ポイ捨てされるごみを見て、化学物質由来ではない結合剤を見つけることに焦点を当てることとした。試作段階でばれいしょでん粉を原料に用いるとプラスチックのような物質ができることに気づき、試行錯誤を繰り返すうちに、ばれいしょでん粉と水だけで、一定の強度がある素材に加工できることを発見した。ポテトプラスチックは、ごみのポイ捨て自体を解決するわけではないが、使い捨てされるプラスチックが生分解されることで環境負荷を減らすというアプローチをとる。また、考案者の出身地であるスウェーデンでは、ばれいしょ生産が盛んであり、廃棄される規格外のばれいしょがこのポテトプラスチックの原料に利用可能である。
このように、廃棄物を原料とすることで、環境にやさしくかつ経済的なポテトプラスチックの実用化が可能だとしている。
 
参考
The James Dyson Award (日本語)
https://www.jamesdysonaward.org/ja-JP/2018/project/potato-plastic/
 

【岡 千晴 平成30年11月19日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:調査情報部)
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