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EU、農産物貿易は増加傾向で推移。動物性生産品は8年連続貿易黒字

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 欧州連合(EU)の統計局(Eurostat)は4月23日、EUの2018年農産物貿易額(総輸出入額)が2750億ユーロ(34兆9250億円)となったと発表した。これは、EUにおける対EU域外物品貿易総額のうち7%に相当する。また、2002年から2018年の間に、同貿易額は年平均増加率5.0%で増加しており、2倍以上の増加となった。
  同貿易額の内訳をみると、輸出額が1370億ユーロ(17兆3990億円)である一方、輸入額は1380億ユーロ(17兆5260億円)となり、貿易赤字はわずかであった。なお、年平均増加率は輸出額(同5.8%)の方が輸入額(同4.3%)よりも大きく、同傾向は年々強まっている。
  なお、農産物貿易量でみると、2018年は輸入が1億5100万トン、輸出が9900万トンであった。2002年から2018年の間の総貿易量は、年平均増加率2.1%で増加し、こちらでも輸出(同3.1%)は輸入(同1.5%)の成長率を上回った。
図1
 農産物貿易について、「動物性生産品」、「植物性生産品」および「食品」の大きな三つに分類(注)すると、輸出額のうち食品が占める割合が全体の57%と最大で、植物性生産品(同22%)と動物性生産品(同21%)はほぼ同程度となっている。輸入額では、植物性生産品が最大で同48%となり、食品(同32%)、動物性生産品(同20%)が続く。
 また、輸出先別農産物貿易額についてみると、輸出額については全体の16%を占める米国が最大で、次いで中国(同8%)、スイス(同6%)、日本およびロシア(同5%)、ノルウェー(同4%)となっている。一方、輸入額は、米国およびブラジル(同9%)が最大で、次いでノルウェーおよび中国(同5%)、アルゼンチンおよびウクライナ(同4%)となっている。
 
(注)動物性生産品には、生きた家畜、食肉、魚、甲殻類、乳製品、卵、蜂蜜およびその他の動物由来の製品が含まれる。植物性生産品には、野菜、果実、コーヒー、穀物、種子および油など植物由来の製品が含まれる。食品には、砂糖、飲料、タバコ、調整飼料などの動物性および植物性生産品に由来するさまざまな種類の加工品が含まれる。
 
図2
 年間農産物貿易額を三つの分類別にみると、動物性生産品は2011年に貿易黒字に転じ、それ以降は黒字で推移している。一方、食品は2002年から2018年の全期間貿易黒字、植物性生産品は同期間にわたって貿易赤字となっている。
 また、2018年の動物性生産品の相手先別貿易額をみると、輸出額については全体の14%を占める中国が最大で、次いで米国(同10%)、日本(同8%)、スイス(同5%)、韓国および香港(同4%)となっている。一方、輸入額は、ノルウェーの同24%が最大で、うち99%は魚および甲殻類等である。次いで中国(同9%)となっており、その3分の2が魚および甲殻類等である。これに、ニュージーランドおよびアルゼンチン(同5%)、米国およびアイスランド(同4%)が続いている。
 なお、同年の動物性生産品の品目別貿易額については、輸出額の最大シェアは「乳製品および家きん類の卵」で全体の38%を占め(109億ユーロ(1兆3843億円))、次いで「肉および食用のくず肉」が同34%(97億ユーロ(1兆2319億円))を占めた。一方、輸入額は「魚および甲殻類等」が同76%(210億ユーロ(2兆6670億円))を占めた。
 
図3
図4
【調査情報部 令和元年5月8日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-8527