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十三・五酪農乳業関連具体策の公表始まる(中国)

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 中国は経済社会発展計画(いわゆる5カ年計画)を5年ごとに作成し実行しており、最新の第十三次五カ年計画は、2016年から20年までの5年間の計画である。詳細行動計画が各分野の行政部局から通常1年目の年末前後に公表され、さらに地方行政部局は詳細行動計画に基づき地域ごとの具体的な計画を立案し実行する。このほど、酪農・乳業関連の詳細行動計画である全国乳業発展計画が公表された。

「全国乳業発展計画(2016~2020)」の概要

 全国乳業発展計画(2016~2020)(以下、「乳業計画」という)は、酪農・乳業及び関連産業の所管行政部局が多岐にわたる上、国産乳製品の食品安全面での信頼回復が喫緊の課題であるため、農業部のほか、国家発展改革委員会、工業情報部、商務部国家食品薬品監督管理総局の連名で17年1月9日に、12月27日付けで農業部ホームページ上に公表された。  
 当該計画には、2008年から2015年までの状況が回顧され、2020年の到達目標と今後の行動計画が示されている。
 特に、中国の酪農乳業は1頭当たりの産乳能力や牧場の大規模化による生産効率といった生産性の点で先進諸国に比べ立ち遅れており、コスト競合性が低いために諸外国産の乳製品輸入量が急速に拡大していている。このため、国内の上位乳業20社をD20(Dairy Top 20)と捉え、これら主要企業を中心に国内乳業の振興を加速するとともに、国産品に対する消費者の信頼を回復することが急務であるとしている。2020年の到達目標は表1の通りである。
表1 乳業発展目標
 また、今後の行動計画として以下の項目などに言及している。
重点生産地域:特に東北と内蒙古、華北(黒龍江省、吉林省、遼寧省、内蒙古自治区、河北省、河南省、山東省、山西省)の生産区の発展を重点的に強化し、ホルスタイン種を中心に飼養し、乳製品(育粉、チーズ、バター、UHT牛乳などの飲用乳)加工の発展を促進する。一方、北京、天津、上海、重慶各市の周辺生産地域では、環境保全能力を高め、観光農場の発展を模索しつつ、遺伝的に高能力な種雄牛の造成に力を入れる。
育粉の競争力強化:国産ブランドの育成強化と製造業界の再編統合を促す。
組織化の推進:生産現場の零細経営などについて、組織化を推進することで各経営のリスク抵抗性を高め、あわせて1、2、3次産業の連携を推進する。
アルファルファ生産振興:新たに600万ムー(1ムー≒6.67アール)のアルファルファ生産基地を造成し、粗飼料供給能力を高める。
疾病対策の強化:口蹄疫をはじめとする各種家畜疾病の予防治療を推進する。

「全国アルファルファ産業発展計画(2016~2020)」の概要

 乳業計画に謳われているアルファルファ生産振興については、別途農業部が全国アルファルファ産業発展計画(以下、「アルファルファ計画」という)を通知(12月27日付け)し、1月18日に農業部ホームページ上で公表された。  
 農業部は、中国酪農業の発展のためには良質な国産アルファルファの増産による栄養面および経営面での効率化が重要であるとして、乳業計画で定めた540万トンの生産量の目標を達成するための栽培目標を示した。
 アルファルファ計画によると、2015年末時点でアルファルファの栽培用地面積は7067万ムーで、生産量は3217万トンとされている。うち、販売用の栽培面積は全体の9.2%の649万ムーであるが、良質乾草注1は320万ムーで180万トンの生産にとどまる。  
 中国の酪農では、内陸部など草地資源が豊富な地域を除き、とうもろこしのホールクロップサイレージが主に使用されており、近年、生産コスト低減のため、乾草など粗飼料の有効利用の必要性が議論されている。輸入粗飼料は大部分が米国産であるが、価格変動リスクの問題とあわせ、時折通関時検査で輸入が差し止められるなど、安定供給の点で懸念がある。新たな供給元として注目されたモンゴル産も、家畜疾病の発生により2016年8月以降輸入が停止されている。

注1:アルファルファ計画では国家標準2級以上を良質乾草とし、これらの平均単収は1ムー当たり562キログラム、平均粗タンパク含量は18.1%とされる。  

 同部は、乳業計画の達成のためには良質アルファルファが、420万頭の搾乳牛1頭当たり年間1.5トンの630万トンに加え、肉用牛などその他の反すう家畜用の60万 トンと併せて合計690万トンが必要(表2)としている。
表2 2020年の良質アルファルファ需要量見込み
 しかし、乳業計画では、2020年までに新たに600万ムーの良質アルファルファ生産基地を造成(新規造成300万ムー、既存の農地の改良が300万ムー)するとしているが、アルファルファ計画では、単収を1ムー当たり600キログラムに高め、国内で年間360万トンを生産し、150万トンを海外から輸入したとしても、180万トンが不足するとしている。  
 また、良質アルファルファの生産シェアや自給率目標についても触れられており、2020年までに大規模粗飼料生産企業数については現在の倍の100社を目指すとしている(表3)。
 なお、計画で示されている目標数値間の関係や目標達成のための具体的方策については不明な部分もある。
表3 2020年の良質アルファルファ生産目標に関する各指標
 このほか、アルファルファの主要生産地域注2を中心に、全国で238の県を重点取り組み地域に指定した。

注2:2015年の甘粛省、内蒙古自治区、新疆ウイグル自治区、寧夏回族自治区、黒龍江省、河北省の主要6省・自治区におけるアルファルファ生産は全国の89.8%を占めるとされた。
【木田 秀一郎 平成29年2月1日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:木田 秀一郎)
Tel:03-3583-9534



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